2001年05月17日 ウィンカーステー&ガソリンタンク交換

Z1R-II

オイルクーラー、ブレーキ装着と社外パーツが装着されたZ1R。
とはいっても、それほど大変なことじゃないね。
Zに限らず、他の旧車カスタム・マシンには、それこそ車体価格を上回るようなパーツが着いてたりするし。
 
これでしばらく金をかける必要もないだろう…
そう思っていた矢先、いきなりアクシデント発生!
前回「今後は、出費は修理にとどまる」てな発言をしたのがいけなかったのか。
久し振りにガッツリやっちまいましたよ…!!

鉄壁の城砦は両刃の剣

本題に入る前に、まず現在住んでいる家について説明したい。
ウチにいらっしゃった方々は分かっていらっしゃると思うが、我が家はバイクを停めるにはとても大変なところにある。
バイク以外の車は入れず、しかも山あいの途中に位置する。
数年前までは舗装すらされず、大雨になると道がえぐれる超田舎だ…

まず大通りから入ると即クランク、坂道を登ったら左折、下り坂を降り、スロープを下って停止。
文章で書くとあっという間、しかも訳が分からないので図解しましょう。
図解されても「絵が下手クソなので分からない」というのはナシね。

車道から入る。躊躇すると後続車にカマを掘られるぞ!
だが歩行者にも気を配らないといけない…
本当に不便な場所なのだ!!
いよいよ敷地内へ。ちょっと考えてもらうと分かるが、ビッグバイクは出る方が大変だ。

と、まあこんな感じなのだ。
車道から脇道に入る時はブラインドで、即クランク。
坂道を登ったら左折し、今度は下り坂。
お陰で普通の家やアパートよりバイク盗難の心配は少なくて済むが(周りは暴走族やらヤンキーが多いが、連中から見てもオレは怪しげな人間として覚えられているってのもある)、車も停められないので月極め駐車場を2台分契約。
タイヤ交換の時期になるとエッチラオッチラとタイヤを駐車場まで運ばなければならないし、出費だってバカにならないのよ。
 
何でこんな話になったかというと、この立地条件が原因でマシンをぶっ壊してしまったのだ。
実は前にも何度かやっちゃっていたりする。

ひとつは、下り坂からスロープに入るタイミングを間違え、手すりより外側に膨らんだため脱輪。
庭に落下するのは免れたものの、独りで引き上げることは不可能。
携帯で家人を呼び出し、たまたま遊びに来ていた親戚の手を借りて脱出。

二つ目はスロープまで入ったはよかったが、手すりの脇に生えている山椒の枝に身体を引っ掛け「いって!痛ててて!」といってるうちにバランスを崩したりしてエンスト。
そのまま立ちゴケするように転倒。
テールランプにヒビが入っているのは、そのせいである。

そして今回のケース…
アイドリングを終えたら狭い庭で向きを変え(下が砂利なので、ものすごく方向転換が大変)、スロープを登って敷地を出る。その際、ハンドルをやや右に切ってやる。
道幅が狭いため向こう側の壁に前輪が当たり、方向転換できなくなるのだ。
 
いつものようにスロープを登ろうとした瞬間、ゴキン!という衝撃が走り、オレはマシンもろともスロープ右側の階段に投げ出された。予想だにしないトラブルにオレはマシンの下敷きにならないよう、転ぶのが精一杯だった。

スロープを登る際、手すりの支柱にクランクケースが激突したのだ。
右ウインカーは大破。
ステーもボッキリと折れてしまった。
かろうじて生き残ったミラーだったが、起こせないうちに重みでガラスが破裂(ホントすげえ音がした)。

「いい加減幸せにしておくれよ!!」とどこかで聞いたようなセリフが頭の中に木霊する。
一番ショックだったのは、ライトステーの損傷。
こいつはウィンカー、ライト、フロントカウルなどを支える部品で、フロントフォークに被せるような形で取り付けられているため、交換するにはカウルはおろか、トップブリッジまで外さなければならない(図解参照)。

それほど特別な技術は必要としないが、それはそれは面倒な作業となる。
大変困ったが、ポッキリ折れた鋳物のステーを直す手段はない(溶接とかは別として)。
弱った、弱ったと頭を抱えたオレは、あるヒトにコンタクトを取った。

そのヒトはSさんといい、彼もまたZ1Rのオーナーである。
彼のZ1Rは展示車のように美しく、あちこち手が入っている。
それだけならば「すごいね」で終わってしまうのだが、Sさんは塗装を含め大半を自分で製作しており、ウソでも誇張でもなくZ1Rに関してはネジ一本から情報を持っている「マニア中のマニア」なのだ。

Sさん曰く「ライトステーは欠品パーツ」とのこと。
ライトステーと言っているけど、正式なパーツ名は「COVER L.H fork」という。
44033-1011 こちらが左用。
44033-1012 こちらが右用。
しかし右側だけはかろうじて在庫されているという。
Sさんのスゴイところは、その価格まで暗記しており、かつ純正品・社外品のウィンカーのラインナップと価格を覚えていたことだ。

Zに限らず、マニアがかける情熱はすさまじいものがある。
雑誌やヒトの話で「このヒトの知識量はすごい」なんてのはオーバートークだと思っていたが、ホントにこういうヒトは存在するのである。
おまけに人当たりもいいし、Z云々は別として長く付き合っていきたいもんである。

面倒臭い病

幸いパーツは日をおかずして到着。
例によって例の如く、Moto Garage WINDSへ行ってパーツを装着する。
が、先にも書いたようにライトステーの交換は大変面倒臭い。
 
Sさんは「オレはそんなに面倒とは思わないけどな」と言うが、オレにとっては出来れば手を出したくない部分。何せカウルを外す程度でも「面倒臭い」とごねるほどだ。
「面倒臭いなあ。でもウィンカーなしじゃあ整備不良で捕まっちゃうしなあ。でも面倒臭い!」
ブチブチ文句をたれていたら、社長ことWINDSの鎌田代表が「もしかしたら金属パテで固定できるかもしれない」というので、ひとつ試してもらう。金属パテは硬化すればタップがたつほど…つまり、ネジの溝を作れるくらい硬くなるのだ。

うまいことパテがかたまり、ウインカーが見事に装着!
こりゃあいい!
いつまでもこうしておくのは不安ではあるが、せっかくマシンに乗れる季節だ。
整備に時間をかけるのは勿体無い。

「社長!着いたぜ!新品パーツは冬にでもつけるさ!!イヤッホー!!」
機嫌よく小鼻を膨らませ、最後に角度を調整しようとしたら…

『ベキ…!』

ステーに盛られたパテが剥がれてしまったではないか(涙)。
が、ステーはラバーによってしっかりと挟み込まれている。
そのため、ウィンカーが脱落する気配はない(上の図解参照)。

結構な力をかけても大丈夫そうだったが、振動や風圧が連続すれば落ちないとも限らない。
「そんじゃタイラップで前後から固定すりゃいいじゃん」
社長をはじめ、他のお客さんは唖然としてこちらを見つめていたが、オレにとっては問題なし。
丁度カウルの陰になってタイラップも見えづらいし、そんなとこわざわざ見るヤツもいないだろうし。

もうひとつやらなければならないのが、破損したミラーの修理。
「修理ってアンタ、ミラーは交換するしかないでしょ」ってことになるだろうが…実際そうなんだけど、そしたら両方交換しなければならないでしょ?
当然のことだろうけど。

でも、壊れたのは鏡の部分。
他は全部生きている。
同じサイズの鏡をはめ込んでやれば、問題ない。
貧乏臭いよね…ウィンカーよりも安いパーツなのに…

いや、金の問題じゃないのヨ。
Z乗りのほとんどのヒトがそうだと思うけど、鏡の部分だけが曲がって調節できるタイプ…いわゆるZ2ミラー使ってると思うんだけど、あれって走っていると振動で震えて何が映ってるのかよく分からないんだよね。
実際、前はそれをつけてたから。

今のヤツはKawasaki純正なんだけど、ミラーが固定式で、ステーとミラーの接合部分がユニバーサルジョイントになっていて、それがクルクル回るから景色のブレが少ないのである。
どうしたもんかと考えた結果…

「社長、いらないミラーある?」
「棚の下に箱あるでしょ。あそこにあるよ…でも何すんの?」
「あるならもらいまーす」
「いいけど…あ!またこのヒト何か始めてる!!」

WINDSのジャンクを漁ったオレは樹脂ボディのミラーを引っ張り出し、糸ノコでガリガリと底を切り開いた。
圧力をかけて割らないよう、注意深く鏡だけを取り出し、壊れたミラーと合わせる。
寸法は若干違うが、はまってしまえばOKだ。

ジャストサイズなら周囲に接着剤やら何やらで固定出来るが、イマイチ小さい。
そこでゴムチューブをぶった切ったヤツをスペーサーにしてボンドで接着。
後は乾くまで万力で固定するだけ。

ミラーは見事に復活。
けど、やっぱしショートミラーの方がいい(今のはロング)。
ちょうど車の…特にワンボックスあたりのミラーと高さが一緒なんだね…
別にすり抜けするとは言ってませんよ(笑)。
いずれ換えるとは思うけど…何となく悔しかったので直しただけだ。

てなわけで、大騒ぎした割に修理は簡単に終了(修理といえないかもしれないけど)。
それでいいのか?
いいんです!無問題(モーマンタイ)!!

次々と降りかかる不幸 ガソリンタンク破損

気をつけようと思っていたのに…実際気をつけていたのに…何故に…ああ、何故に不幸が訪れるのか!
何と一ヶ月もたたないうちに、またもやってしまいましたよ!庭先で!!

それはある日曜日。
洗車を兼ねて整備してやろうと仏心を出したオレは、マシンのセンタースタンドをかけようとハンドルを引き上げた。
瞬間、バランスを崩してマシンは向こう側へ転倒。
 
メキ!!という金属音が響き渡る。
マシンの下には、四角い陶器の植木鉢があり、角がタンクを直撃。
ペコっとへこむ…なんてかわいいもんじゃない!ベッコリ…バイクのバの字も知らないような明治生まれのオバーさんが見ても「ありゃりゃあ、なんだべまずなあ」と言うくらいへこんだのだ。

もちろん、オレのハートも凹んだ。
凹んだどころかこのぶつけようのない怒り…オレは怒りを静めるべく、スロープ(上の絵参照)の縁…ちょっとマフラーを擦ってしまう出っ張りをツルハシでもって破壊してやった。

破壊している途中、近所のヤンキーが通っていったが、鬼気迫るオレの姿に圧倒されたのだろう。
ジロリと睨むとそそくさと通り過ぎた。
オレもヤンキーの立場だったらそうする。
下手に「こんにちわ」なんて言ったら、ツルハシで脳天割られるもん。
何か哀しいけど、そういう時代なんだよね。
 
ある程度怒りを発散させたオレは「さてどうしよう」と考えた。
タンクなんて所詮ガソリンを入れとくツボじゃない。
キズがつこうが、へこもうが、中身がもれなきゃ問題なしヨ。
車なんてタンクすら見えないじゃん。

でも…でもさ、やっぱしバイクのタンクってば重要だよね。
キズぐらいならいいけど、右側だけえぐれてんだよ。
アラレちゃんがニーグリップしたんじゃないんだからさ。

右側のヘコみが哀しい

雑誌なんかにはへこんだタンクの修理方法が、毎月のように載っている。
確かにそうすりゃ直るだろうが、手間と費用を考えたら、完成までに冬になってしまう。
 
しょうがないので、家の中を捜して秘蔵のタンクを発掘。
発見したタンクは二つ。
キズはないけどすごいボロと、ピカピカだけどロゴのないヤツ。
今更ボロをつけるのもシャクなので、ロゴ無しのピカピカタンクを装着することに。
こいつは、SEAZカンパニーさんからセットで売ってもらった外装セットのひとつだ。

だが、燃料センサーとフューエルコックがないので、こいつはさっきまでついていたヤツから移殖。
デカいレンチと8mボックスがあれば、サクサク取れてしまう。
あ、タンクキャップも忘れずに…これはプラスドライバーでOK。

簡単に書いているけど、ガソリン満タンだったので結構手間がかかった。
ちなみにいつの間にやら秘蔵タンクは中にサビが吹いていたので、早めにケミカルでサビを落とさないと…

問題の赤錆…ホントに落ちるんかいな?

で、ロゴというかエンブレムは前のタンクから外せばいいのだが、ネジ山が怪しい。
ナメそうな雰囲気だったので、ここは思い切ってレプリカエンブレムを購入することに。
純正はKawasakiなのだが、気分を変えてというか、厄落としも含めて大文字で「KAWASAKI」のオールドタイプにしたみた。
ちなみにZ1Rの1型は後者なんだけど。

ところでオレの知っているZ1Rオーナーが、この頃不幸に見舞われている。
リンク貼らしてもらっているmadstoneさんのマシンもエンジンにトラブルが発生し、hiroshi君なんて環七で自爆してしまったという…この時期はZ1R乗りにとって三隣亡の大殺界なんでしょうか?
 
このDAYS OF REPAIR、別のタイトルにした方がいいのかな。
縁起が悪いから。

花咲G投入!

上にも書いた通り、タンクの中が錆びていたのでタンク内錆取り作業のメジャーケミカル、花咲Gを購入。
購入っつったって、1リットル5000円もする。
今のオレには痛くて痛くてのた打ち回りそうな価格だが、タンクの錆を放っておくとロクなことがないので断腸の思いで投入した。ああ、ホントに痛いよ、この出費は。

作業を進める前に、まずタンクに残っているガソリンを抜く。
捨てるのも勿体無いうえ、どこだかんだに棄てられないのでボロタンクに移し変える。
一滴残らず…というわけにはなかなかいかないので、ある程度の大気開放は覚悟すべし。

ポンプもないし、買うのもバカ臭いので直接入れ替え。全ては結果オーライね

タンクを空にしたら、フューエルコックなどのパーツを外した後、中性洗剤で脱脂。
財力のある方は、ガンガン脱脂剤を使えばよろし。
オレは金も器量も甲斐性もないので…そこまで言わなくてもいいか…とにかく洗剤で洗う。 錆がかさぶた状となった断末魔のタンクだと、この段階で錆が剥がれ落ちていくらしい。

このタンクはそこまで症状が悪化していないので一安心。
けど、マグライトで照らしてみると一面に赤黒い錆が吹いている。
層もそれなりに厚そうだ。

水を抜いたらガムテープで穴に蓋をする。
が、ガムテープ、こないだの作業でガソリンだらけにして使い物にならなくなってしまった(涙)。
しょうがないのでワインのコルクを突っ込んでやる。
もちろん、それだけじゃ不安なのでビニールと輪ゴムでしっかり密閉。

下準備が済んだら、いよいよ花咲Gを注ぐ。
塗装面には影響ないらしいが、一応アルミホイルで漏斗を作り、そっと流し込んでやる。
取り扱い説明書によれば、ひどい錆は原液のまま3~4時間ほど放置せよというので放置してみる。
メシを食い、執事にサウジの油田とシャンパーニュのブドウ畑の経営について指示して、今週末のパーティに着ていくタキシードの採寸をするなどして時間を潰す。

ホントはそんな妄想をしてただけね。
数時間ほったらかしにした後、タンクの中を覗く。
こいつは驚き。
底板と壁面の錆が消えうせ、鉄のギラギラした地肌を見せているではないか。
まさに『看板に偽りなし』ってとこだ。
 
そしたらお湯で10倍に希釈してやる。
10倍…10リットル…でも、タンクの容量は20リットル。

ダメだ…全然足りないじゃん。

トリセツには「タンク容量に対し処理液が少ない時は、タンクを傾けるなどして、まんべんなく液に浸かるようにして下さい」と書いてある。んなこと言ったって、いつどのタイミングで傾けるのよ?
鳥が卵を抱いてるんじゃないんだから、忙しい現代人にはあちこち傾けてやるヒマなんてありゃしない。
いや、あるのかもしれないけど、そんなことに時間を費やすのはイヤだ。

てなわけで、オレはガンガン希釈してついには満タンにしてやった。
10倍液だと24時間以上の放置らしいんで、48時間以上放り投げておけばいいんじゃない。
ホラ、ウィスキーをロックで1杯呑むのと、水割りで5杯呑んでも同じように酔っ払うのと同じ理屈よ。
ああ、オレってお利巧ですね。

翌日、キャップから中の様子を覗いてみる。
錆がプカーっと浮かんでいるイメージだったが、変化は見られない。
やはり薄め過ぎたのがいけなかったのだろうか。
どうでもいいけど、花咲Gのニオイはキツイ。
環境にやさしいそうだが、人体には厳しいようだ。
 
『時々タンクをゆすり、処理液を攪拌すると反応が促進されます』というので、割り箸でかき混ぜてやる。
割り箸の先がタンクの壁面を掠めた。
すると、こびりついていた錆がペリペリと剥がれてゆくではないか。
間違いなく効いている。
 
で、もうしばらくたってから中を見ると、金属の地肌が見えている。
どうやらこの辺が潮時だ。

えっちらおっちらタンクを運び、処理液をポリタンクに移す。
環境にやさしいのだからドバドバ捨ててもいいのだが、花咲Gは3~4回ほど使い回しが出来るらしい(処理時間は延びるが)。もったいないので、取って置くのだ。

致命的な錆の場合茶色い水が流れ出すらしいが、このタンクから排出された水は黄ばんでいる程度。
どうやら思ったより症状は軽かったらしい。

処理液を出し切ったら、タンクにホースを突っ込んで錆を流してやる。
といっても、この段階でキレイになっていたので洗い流して終了。
丹念に水を抜いた後、日なたに放置。
黒いタンクなので、みるみるうちに乾いてゆく。

え?直射日光はよろしくないんじゃないのかって?
バカモノ!そんなこと言ってたら、いつどこでマシンに乗るのよ。
塗装が褪せようが、ひび割れようがお構いナシ。
 
完全に内部が乾いたら、フューエルコックなどを元の位置におさめてオシマイ。
今度からは錆びさせないよう、なるべく満タンにしておくわけだ。

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