Itary

■1997年 8月11日
イタリアはローマに到着。
ちなみに、この空港での着陸はムチャクチャ怖かった。
「あれ?ここ、滑走路なの?」て感じで降りてゆく。
窓のすぐ傍には建物が見えるし。
それまで談笑していた乗客もアプローチ体制に入った辺りから全員が静まり返る。
 
イタリア語が分からないオレでも、表情を見れば一目瞭然。
みんな恐怖と緊張に固まっている。
で、無事着陸した瞬間、拍手喝采。
めでたしめでたし(笑)。

でね…それはいいとして、オレは言いたいことがあるわけよ。
何だってまた、人の荷物を無くすのかな、こんの腐れ航空会社はよ!
どこかって?
 
いいですか?
BAです。ブリティッシュ・エアウェイズ。
日本語では英国航空っていうんですか?

あなたたちでございますよ。
 
おみくじ引いて『失せ物』のところ、見てみたいよ、ホント。
しかしながら、オレだってアホではない。
前回の失敗を教訓に、今度はリュックにある程度の着替えを入れておいたので安心だ。
つーか、こういうことを乗客が気をつけないとダメな会社なんですかね?

他にも荷物を飛ばされた客が詰め寄っている。
当然、オレは先頭に分け入り、日本語と英語が混じった汚い言葉で怒鳴り散らした。
その剣幕に担当職員は「本当、こういうことは稀でして…」とぬかしたものだから、さー大変。

「稀?稀っていったな、お前。あのなーオレはなー、つい先週もお前んとこの会社が荷物を香港だかどっかにぶっ飛ばしてくれたおかげで、足止めをくらったんじゃねーかよ!!」
オレの言葉に、周りの連中は拍手喝采&大激怒。
「この兄ちゃんが正しい!」「どうしてくれるんだ!!」「いつ出てくるのよ!?」
あおったオレが驚くほど、収拾がつかなくなってしまった。 
  
青ざめた担当もかわいそうだったけど、多くの旅行者はイロイロやりくりしたり、予定立てて、旅行を本当に楽しみにしてるんだから。
そういう気持ちを大事にして欲しいよね。
中には家族連れやお年よりなんかもいて、本当に悲しそうだったもの。

ホントなら他の街も見に行きたかったのに、このおかげでローマにとどまるしかなかった。

ローマ市内の中心部。都会でゴチャゴチャしているのに、東京のような圧迫感がないのはなぜだろう

また空港の観光案内所でホテルを予約する。
空港を出ようとしたら、荷物を持った観光客を目当てにホテルの客引きが群がっているのが見えた。
「ミスター、ホテル」「ミスター、チープホテル」としつこくつきまとっている。
しつこく、と書いちゃ失礼か。
彼らも仕事なんだろし。

ところで、こういった連中、オレには決して近寄って来ない。
もう、デンジャラスな奴って一発で分かるのか。
ある意味おトク。

特に、この日はロストラゲッジの件もあって、ものすごくフキゲン。
ガツン、ガツンと踵を鳴らしながら、大股でど真ん中を歩いていた。
もしかしたら、どす黒い殺気があふれ出していたのかもしれない。

そんな中、日本人の青年が数名の客引きに取り囲まれていた。
「よう、大丈夫?」と声をかけたら「に、日本人ですか?」と駆け寄ってきた。
大学の卒業旅行で、ヨーロッパを電車で旅しているらしいのだが、オレと同じく行き当たりばったりで、ホテルが取れなかったという。
可哀想なので、オレが予約したホテルに連絡したら、空き部屋がある、とのこと。
 
宿に着いてから、若者(矢野君という)とレストランで飯を喰う。
でも、イタリア語しか通じないから、大変だった。
「いくすきゅーずみぃ」なんて言っても誰もわかんねーのよ、マジで。
「ガス?ノンガス?(普通の水がいいか炭酸水かいいか)」と訊いてきたので「ノンガス」と答えたのに炭酸水だし。
でも、食い物は美味しかったけどね、安いし。
本場、イタリアのピザを食べて酒を飲み、気持ちよく眠りに落ちた。

■1997年 8月12日
安いホテルの割に、朝になるとちゃんとエスプレッソとショートブレッドを出してくれる。
で、荷物も届いてた。よかったよかった。
落ち着いたので、早速市内観光へ。
今度は通貨がイタリア・リラに変わるので、またも両替。
ところが、リラの価値が低いせいか、何かを支払うにも10万リラとか「子供銀行」みたいな単位になるので、支払の際は、いつも心臓が高鳴っていたという(笑)。

それにしてもヨーロッパ、暑い……
結構爽やかな暑さなのかと思ったけど、日本の夏とそんなに変わらない。

トレビの泉、円形闘技場といったメジャーな場所を観に行く。
日本も夏休みというだけあって、学生の旅行者もいた。
うさん臭い奴らばっかだけど。

うさん臭いといえば、イタリアの物売りはかなりうさん臭い。
特に日本人を狙った詐欺まがいの押し売りの多いこと。
勝手に「サービス、サービス」とか言って手首に昔流行ったプロミスリング(ミサンガ)を巻きつけてくる。
「いらねえよ、こんなもの」と英語で言っても通用しない。
しょうがないから日本語で「いらねえっていってんだろうが」と凄んでやるとアッサリと引き下がる。

ただ、中にはしつこいうえに英語が分かるやつもいるので滅多なことは言わないほうがいい。
街で連中とトラぶったオレは5人くらいに待ち伏せされて、あわや一触即発だった。
人がいっぱいいる観光名所だからといって安心は出来ない。
どうしようもないときは日本語でもいいからデカイ声で叫んでやろう。

何度も言うが、囲まれたってひとり潰せば、そこから逃げられるし…なんて考えないように。
イタリアはおっかない国だ。
マフィアの面子を潰して半殺しに合うのは日本のヤクザと同じ。
気をつけよう。

そういや、イタリアじゃポケットの奥に財布入れてても、ポケットを切り裂いて盗まれると聞いていた割には、そういう連中は寄ってこなかった。
オレなんてウォレットチェーンつけてるから「はい、お財布はここですよー」ってアピールしてるようなもんだけど。
まー見た目がこうだから、よりつかなかっただけかもしれないけど。

これも有名な「真実の口」。実はマンホールのふた。見つけづらい場所にあり、個人旅行で来てるヤツの大半が「この辺なのに…」と探し回る

■1997年 8月13日
ローマ市内観光。
しかし、いっぱい人がいる。ガイドに載ってるようなとこには、どこも混雑しちゃって。
特にバチカン市国はひどかった。
こんなにも人が集まるなんて、大したもんだよローマ法王ってのは。
有名なシスティナ礼拝堂は工事中で、ヘトヘトになるまで登ったはいいけど、あまり景色が良く見えなかった。まあ、でもかの有名なノイエ・シルチスのモチーフとなったバチカンの衛兵を見られたのは良かったけど。

一番すげェなって思ったのは現地のガイドに載ってた『骸骨寺』。
正式には、サンタ・マリア・デッラ・コンチェツィオーネ教会(疲れる)。何がすごいって、教会内部の廊下におびただしい数の人骨によって造られたレリーフがあるのだ。 おまけにミイラまであって、悪趣味というか何というか……写真撮影禁止って、何が映るか怖くて撮りゃしないっての。

帰り道、レスリー・ニールセン(裸の銃を持つ男の主演俳優)似のオッサンが頭に花を刺して踊っていた。
時々怒りをぶつけるように演説するんだけど、これがやったらオカシイ。
激怒した後に、太極拳のような踊りを披露して、次の瞬間また激怒する。この繰り返し。
みんな知らないふりして通り過ぎるんだけど、オレは地元のガキどもと一緒に拍手喝采。ようするに、オレも暇人だったのだ(笑)。

 
8月14日
今日は美術館へ突入。ラファエロの絵がある国立美術館なのだが、すぐにつまんなくなって外へ出る。
ボーッとしてたら、美術館にいた女性観光客四名に「日本人ですか?」声を掛けられる。

ひとり、結構オレ好みのお姉サマがいたのだが、雑誌の連載で世間的に面が割れているので残念ながら紳士を装う。
いや、装ったんじゃなくて本当に紳士、硬派だからね。

男おいどん、シャーロック・ホームズを敬愛するオレは、旅先でおねえちゃんに手を出すようなことはしないのだ。
いや、旅先だけじゃなくても。
これこれこういう旅をしてるんですとか言ったら、珍しがられてお姉さま方と飯をご一緒させてもらう。
「えータケダ君ってすごいねー」
オレ好みのお姉サマが目を潤ませてこっちを見つめる。
「いえいえ。そんなことござーせんよ」
「アタシも憧れちゃうなー」
顔の前で両手を組んだお姉サマが、うっとりとする。
「姐さんにも、きっとこれからそういうこともありやすよ」
「えーそれでそれで、これからどうするの?」
お姉サマ、いつの間にか身を乗り出してくる。
「風の向くまま、気の向くままっすねえ」
「これからってより今夜は?空いてる?お姉さん、もっとタケダ君のお話、聞きたいなあ。これからの参考になるし」
「グエッヘッヘ、あっしは一晩中でも構いませんよ」

ウソ。
すんません。ものすごく誇張ありです。
ていうか、英語が喋れるのでレストランで通訳として重宝がられただけ(笑)。
 
こういう普通の観光客と一緒でなければ、レストランに入れないのが哀しい。
ローマ市内は、何だかこぢんまりしているのであっと言う間に終了。

上から見下ろしたローマの街並みと路地裏。こんなところなら、昼間からワイン片手に…というのもサマになる?

翌日は宗教的祝日で、どこも休み。
街は閑散としている。バスも走ってない。
まあ、それはそれでいい感じなのだが…いかんせん、店が開いていないのが困る。
そういや、こんなにコンビニがある国なんて日本くらいじゃないのか?
田舎にもたくさんあるもんなあ。たいしたもんだ、日本は。
適当に街をウロウロして、たまっていたツーレポを仕上げる。

ヨーロッパもこれでお終い。
次は大西洋を渡ってアメリカだ。

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