ふとしたことで知り合った女性ライダー。
バイク歴は浅いけど、悪しきエンスーのように知識をひけらかしたり、知識と経験がバイク乗りのレベルを左右する、とか言っちゃう勘違いライダーとは真逆で、純粋にバイクライフを楽しんでいる。
時々一緒に走りに行くけど、オレのペースにしっかりついてくるどころか、慣れた峠道では追いつけないほどの腕前。
前を走らせても、背中を預けても安心して走れる、数少ないライダーだ。
いまは、縁あって仕事を手伝ってもらっている相棒だ。
彼女が駆るのはMT25(前期型、ともいうべきか)。
YZF-R25をネイキッドにしたストリートファイター的なマシンで、いまでは各社同じようなマシンを販売している。
個人的には乗り易くて非常に良いマシンだと思っている。
リリースされてから日は浅いけど、彼女、通勤をはじめ移動手段がバイクしかないので、春夏秋冬、毎日のように走っているため、それなりにマイナートラブルも。
今回はヘッドライトバルブの球切れ。
ハイビームがつくのと、ポジションランプが思いのほか明るいので真っ暗闇にはならないけど、安全に関わることなので早急に直したい。

まずは小さなカウルというかライトカバーを外す。
その奥に8mmのボルトが3本現れるので、こいつを外すとメーターボックス?名前は知らんけど、とにかくメーター周りがフリーになる。
結構、奥まっているのでラチェットは入らないかも。

なのでT字で外すのが良いでしょう。

8mmボルトを外したら、次に10mmのボルトを2か所外す。
2本の10mmボルトを外すとライトケースが完全にフリーとなる。
ライトケースは下部の筒状のラバーマウント?でくっついているので脱落はしないが、気をつけたい。


ヘッドライトバルブにアクセスするには、ブーツを押さえている鉄丸棒のフレームを+ドライバーで外す。
雌ネジ側がプラスチックなので、戻すとき強く締め込み過ぎるとネジ山を傷めそうなので要注意。

+のネジを外してやると、丸棒フレームが緩む。

あとは防水防塵のラバーブーツ、H4コネクタを外してやるとヘッドライトバルブに到達する。
ヘッドライトバルブのストッパーを外すのは、ほかの車種と同じ感じ。
こうして書いていると、イロイロ外さなければならず、手順が面倒なようだけど、作業自体は開けて戻しても10分もかからない。
写真を撮影しながらでも15分くらいで作業が終了した。

LoもHiも問題なし。
確認してから組み立てないと、泣きを見る。
後は逆の手順で部品を組み付けてオシマイ。
ついでに他の部分も点検しておく。
通勤や生活で毎日、使うマシンだからね、ちゃんと見てあげたい。
まずは空気圧。


タイヤ交換したばかりだと、空気圧が足りてないこともある。
こちらは規定値通りに入れてやる。

次に交換してもらった記憶がない、というブレーキフルードを交換。
年に1回は交換してあげたい。
ブレーキフルードは塗装を傷めるので、養生してから作業開始。

漫然と外そうとすると、ネジの頭をナメてしまうので、しっかり体重をかけて押し回し。
内側のダイヤフラム(ゴムのパーツ)を外すと、フルードをこぼすこともあるので気をつけて作業。

ニップルにフレアナットレンチ(レンチの一部が開いている)をつけてから、ホースをつなぐ。
写ってないけど、先端にシリンジをつないで、ニップルを緩めたら、シリンジでフルードを抜いてやる。
リザーバータンクを空にするとエアを噛んでしまうので、抜き取る量には気をつけて。
ブレーキレバーのタッチだけじゃなくて、ちゃんと停まるかどうかを確認する。

リアのリザーバータンク。
かなり劣化しているというか、腐りかけている。

シリンジに移した古いフルードを見ると一目瞭然。

これが新品の色。
気持ちいい。

軽く洗車して、チェーンが若干サビていたので、清掃とチェーンルブで手入れ。
シールチェーンは手入れしなくてもよい(シールでグリスを封入しているから、手入れは無意味)という説もあるけど、どのメーカーもメンテナンスを推奨している。
シールを乾燥から防ぐにも油分は必要だし、金属部品は基本的に潤滑していないと傷んでしまう。
もし、油脂による潤滑が要らない!ていうなら、エンジンオイルだって要らない論理になるでしょ?
チェーンは500km前後で清掃・潤滑するのがよいのだそうです。

あとはフロントフォークの点サビなどをキレイに除去して完成。
これでしばらくは気持ちよく乗れるはず。
冒頭にも書いたけど、一人前のライダーとは、年鑑のようにたくさんのバイクのスペックが頭に叩き込まれている数で決まるわけでもなく、自分でバイクを整備したりカスタムする技術で決まるわけでもない。
好きなところへ自由に走り回り、出発地点に無事帰還することだ。
そういう意味では、年間1万キロを走り、どんなタフなルートでも必ず帰ってくる彼女は、すでに立派な一人前のライダーだ。
何十年間も何万キロも走って、いつだって自力で還ってきたこのオレがそう言うのだから、誰にも文句は言わせない。