周りの連中が携帯電話やPHSを持ち始め
お気に入りの曲たちを聴く時はカセットテープ
センセーショナルにデビューしたWindows95の凄さに気づいた人はごくわずか
寅さんの続編はもう創られることはないと知り
後に大ブームとなる「たまごっち」の発売を目前に、新兵に支給されるズダ袋ひとつを背負い、日本を後にした。
これが、1996年の11月。
カセットテープに入れたスリーコードのロックンロールをヘビーローテーションしながら、飛行機が着陸態勢に入る。
Here we go again, on a 747
Looking at the clouds
From the other side of heaven
Smoking and drinking, never gonna stop
Reading magazines
Stop me looking at the clock
Wanna watch the movie, can’t keep still
Flying down to Rio, going to Brazil
ボーイング747に乗ってブラジルへ行く、という歌詞で、乗った飛行機はジャンボじゃなかったし、行き先はブラジルじゃなかったけど、南半球へ飛んだのは同じだったし、何より高揚した心にふさわしい曲だった。
Going to Brazil Motor Head “1916”より
それから、何カ月も後の話だが、およそ6ヶ月、シドニーで暮らした後、全財産をバイクに積み込んで、ブリスベン、ケアンズ、ダーウィン、アリススプリングス、エアーズロックを走り回り、ついには西オーストラリア州の州都、パースに到着。
そこで、ひとりの男と出会うことになる。
彼の名はマット。
またがったZが中型バイクに見えるほどの大男である。
彼は何度か日本に遊びに来てくれて、そして、あの不安定極まりない自分のZ1Rで和歌山、鈴鹿まで走った筋金入りのZライダーである。
2018年8月、突然、マットからFacebookでメッセージが届いた。
「今回のルートだ」
どういうこと?と首を傾げながらも、ゴトリ、と何かが大きく動いたような気がした。
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