オーストラリアよりZイズムを込めて 2018 Day 3

Australia 2018

2018年11月03日 Leonora to Tjukayirla Roadhouse

写真だといい感じだけど、おびただしい数のハエに襲撃されている

昨日までの暴風はマシになっていたが、またもハエ。
ブルーハーツは「写真には映らない美しさがある」と唄っていたが、写真には映らないけど、おびただしい数のハエが襲来しております。
どれくらいかというと、背中一面に50匹くらい、はりつきます。
おかげで、とうとうフライ・ネットのお世話に。
内陸部を旅する時は、これがないと、やってられない。

そしてちょっとしたトラブルが。
テーブルの上に置いていたパンが風で飛ばされ、しかも動物に食われていたという…
スズメ?カラス?
さすがにこれを食べるわけにはいかないので、コーヒーとホットケーキでおしまい。

車を再びハイウェーに乗せて、昨日の道をちょっとだけ戻るようにして東へ向かう。
向かう先はラバートン(Laverton)。
ここもまた、100年以上も前にゴールドラッシュで賑わったところだ。
ゴールドラッシュはそう長く続かず、不況などの影響、鉄道の廃線などで街はどんどん寂れていった。
ただ、50年ほど前にニッケル鉱脈が見つかってからは、やや持ち直したのか、いまでは観光客が訪れるようになったという。

小さな街の割には、きれいに整っており、それほど悪いところではない。
ガソリンスタンドに空薬莢が落ちていたのは気になるけど(笑)。
ビジターセンターでは、ここでしか買えないようなものがあったり、なかなかの充実ぶり。
アウトバックな感じのタオルを購入(笑)。
こういうのに、弱いんですよ。
ついでに、マットから借りていたのでフライ・ネットを新調。
これでどんなにハエがやってきても大丈夫。

このドリンク、激ウマだった。あまりにもいい感じなので、空き瓶を持って帰ってきた(笑)

そして、街に看板があるように、ここからがアウト・バックへの本格的な入口。
1997年の空冷Zとの戦いでは、海岸沿いに横たわる国道1号を走って大陸を横断したが、こっちはオーストラリア大陸を袈裟斬りにする「ど真ん中ルート」。
これはさすがにZでは不可能だろう。

いやいや、TT100GPを履かせ、ひっくり返っても大丈夫なようにエンジンガードを着ければいける。
ヘタにいじらず、純正ステップ、鉄の純正ハンドルなら行ける。
やれと言われたら、いつでもやりまっせ(笑)。
あのZ1Rでダート・ロードを走ったのは伊達じゃない。

なんて妄想しつつ、車はいよいよ本格的なオフ・ロードへ。
走り出してほどなくして、道路の端に停まっている車が。
トラブルだろうか。
「いや…あれは、もうだいぶ前に放置された車だよ」
マットが言う通り、ナンバープレートも外されている。
そんな車が次々と現れる。

この荒れた道を乗り越えることができず、砂の海に轟沈したのだろう。
まさに、マッド・マックス・デス・ロード(笑)。
おまけに、天気がよろしくない。
気温が上がらないのは車にも優しいのだろうが、雨が降るとあっという間に水浸しになる。

何で?砂漠って雨が降ってもどんどん染み込むだけじゃないの?
と思っていたけど、実は砂漠地帯の土はスポンジのようにスカスカで、雨が降ればあっという間に水を吸収すると思いきや…
密度が高いというか、細かい砂が固まって出来たようになっていて、水が流れてもなかなか浸透しないのだそうだ。
だから、雨が降り出すと、どんどん低い処に集まってきて、場合によっては鉄砲水のようになるという。
簡単にいうと、巨大なフライパンの真ん中にくぼみを作ったような状態なのだろう。
中東の砂漠では、溺死する人が後を絶たないのだそうだ。

オーストラリアじゃそんなことないよな、と思いきや「洪水注意」の看板も。
なかには「2mくらい沈みますよ」という標識もあるので、油断大敵だ。
地平線だらけのところで2m沈むということは、逃げ場所もない、ということなのだから。

Tjukayirla Roadhouse

そうこうしているうちにTjukayirla Roadhouseに到着。
マットは事前に調べていたらしく「ハンバーガーが絶品らしい」とのこと。
たしかにWebsiteにも登場している。
マットが何度も「ここでハンバーガーを食べよう」と言うものだから、昼を過ぎても皆で「ガマンしようぜ」と耐えてきたのだ。

ところが、だ。
行ってみたら「今日は置いてない」ときたもんだ!
土曜日だよ?観光客が来るんじゃないの?
しっかりしておくれよ~!!

ほかに食べるものはないのか、と聞いても何もないという。
これを楽しみにしてたから、昼を回ってもガマンしてここまで足を伸ばしたんじゃないのさ~!超ガッカリした我々は、しょうがないので、食糧からクラッカー、チーズ、サラミを取り出し、走りながらそれを食べることに。

ガッタガタと揺れる助手席で、チーズとサラミをカットして、クラッカーサンドを作るワタクシ。
海賊船のコック長になれるんじゃないの?

そして、とうとう雨。
砂漠で雨とは、かなりレアなシチュエーションだ。
が、今回はそれほど強い雨ではなく、雨雲と遭遇した、という感じで終了。

それにしても、一体、いま、何処を走っているのかが、ちっとも分からない。
昔、スマホもネットもない時代も、自分が何処にいるのか悩むこともあったが、基本的に舗装道路ばかりを走っていたので、ロードハウスがあったり、ほかの道路と交差するような場所

があるので、まるっきり分からない、ということがなかった。
ところが、今回の旅は、街を離れるとすぐに電波が圏外になる。
マットは緊急用のビーコンを持っていたが、あくまで一方通行。
自分がどこにいるか、までは分からない。

Somewhere on Great Central Road

結局、ロードハウスでもらった地図を見ながら「多分、いま、このあたり」という感じでブッシュに侵入。
何となくよさげな場所を見つけたので、今夜はここでキャンプ。
相変わらず、ここでもハエ地獄。
マットとカイは「ハエども、のいん、のいん」と繰り返していた。
多分「嫌だな」という意味なのだろう。
こちらも自然と「のいん」という言葉が出てくる。
あとで調べたら「annoying」と言っているようで、意味はズバリ「うざい」(笑)。
こうやって、言葉をひとつひとつ覚えていったことを思い出した。

「英語、昔から出来たんですか?」
とか
「英語、どうやって勉強したんですか?」
と、いまだに、よく聞かれるので、もう一度。

高校時代は、英語のテスト、ほぼ赤点でした。
中学くらいまでは良かったんですけどね、高校の英語が全然分からなかった。
分からなかったというより、点数が取れませんでした。
たとえば、同じ意味を持つ熟語を2つの単語で表現するのと4つの単語で表現する場合がありますね。
これをひたすら覚えなくちゃいけないわけだけど「この2つはどう違うんだろう?」となるわけですよ。
本当は微妙な使い方の違いがあったり、こういう場合はこういう言い方にした方がいい、というのがあるのだけど、授業はそこで立ち止まらない。
どんどん、機械的に覚えていくだけなので「じゃあ、いったい、どこで役に立つのよ?」とヘソを曲げるわけです(笑)。
大半が高校に進学して、6年も英語を勉強しているのに、まともに話せる人間が出てこない国は、日本くらいじゃないでしょうか。

近所の雑貨屋で「これください」も言えなかったワタクシですが、とにかく、話をしないとどうしようもない。
肉屋で「ショルダーベーコン300グラム下さい」とか言えないとメシも作れないわけですから。
最初は相当あやしい英語だったのですが、何かを一生懸命伝えようとする人を無視したりバカにする人は、そういません。
なかにはゲラゲラ笑うヤツらもいますけど、そんな連中も、最後には「しょうがねえな、こういう風に言うんだよ」と教えてくれたりします。
とにかく、それを繰り返していくうち、相手が何を言っているのか分かってくるし、自分でも言いたいことが言えるようになります。

「TVを見るといい」とか言う人もいるけど、それは、ある程度下地が出来ている人の話。
聞くだけ、見るだけで、みるみる喋れるようになるなら、英会話教室なんかやらずに教材を売った方がいいわけで。

話を元に戻そう。
で、とにかくハエが多く、じっとしているとブンブン襲撃してくるので、フライ・ネットをかぶって、薪になりそうな木を探し始めた。
キャンプファイヤーが必要なほど暑くないが、とにかく煙で追い払いたかったのだ。
ところがこの辺りは藪が多い割に、あまり背の高い木がない。
下を見ながらウロウロしていたら、子供たちも一緒になって薪を探し始めたのか、後ろの方でガサガサしている。
「その辺は、さっき探したんだけど…」
と、振り向いたら、子供たちは車の周りでベンチに座っているではないか。

ところが、音はまだ続いている。
音のする方をじっと見つめていると…

いました!
ついに遭遇です。

オオトカゲです。
こりゃあ、デカイ。
尻尾の先までは1mを余裕で超えている。

「すごいのがいるぞ!」

ただならぬ声に反応したのはソルジャー。
ダッシュで駆けつけると、そのままトカゲを追い詰める。
マットが「毒はないけど気をつけろよ~!」と叫ぶ。
咬まれると破傷風になったりすることもあるからだ。

ヒットアンドアウェイを繰り返しているうちに、トカゲは何処かへ行ってしまった。
あんなにデカいのに…モンハンのエリア移動のようだ(笑)。
陽が落ちて、ハエがいなくなった頃に夕飯の準備。

今夜はカレー。
しかも、羊の肉を使ったカレー。
マトン・カレーならぬラム・カレーだ。
ラムは生後間もない、永久歯が生えてない子羊、とあらためて書くと、食べるのがカワイソウになってくる。
じゃあマトン(大人)を食べてればいいのか、ということでもない。
他の命を屠って生きるのだから、せめて残さずキレイに頂く。

で、カレーライスかと思いきや、カレーだけ(笑)。
それでいいのか?と聞くと「ライスは要らない」という。
結構、作ったのだが、最後にはナベがすっからかんに。
ここもバタバタしてて写真ありません(笑)。

夜、遅くなっても雲がうっすらとかかったままで、夜空はイマイチ。
星空観察が出来ないってんで、焚火でマシュマロ。
初日はディーゼルで燃やしたが、今夜はライターで。
やけに燃えやすい枯れ枝があり、どんどん燃えていく。
オーストラリアも山火事が多いのだが、こういう燃えやすい木々のせいなのかもしれない。
昔、ミッション・インポッシブル2で最後のバトルを繰り広げた場所のロケ地を見に行ったこともあったけど、あそこも山火事であちこち真っ黒焦げだった。
でも、ああいう山火事がないと芽吹かない植物もあるらしいので…なかなか難しいものですな。

そんなこんなで3日目も終了。
ネットも繋がらないので、基本的に夜はすぐに寝てしまうのだった(笑)。

大男とマッスルガイがいるので、どんなものが来ても大丈夫、きっと

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