The Olgas Kata Tjuta to Alice Springs
本日も快晴。
実は今日でマット&カイ親子とお別れ。
我々はバスでアリス・スプリングスを目指す。
と、その前にマウント・オルガを訪れる。
マウント・オルガ、カタジュタ、風の谷とたくさんの呼び名がある。
道路標識がKata Tjutaで統一されているのは、アボリジニへの忖度でしょう。
ここもエアーズロック(ウルル)と並んで有名な観光地。
「たくさんの頭」という呼び名もあって、ドーム状の岩山が並んでいるように思えるが(実際、Look Outからはそう見える)、実際は緩やかで滑らかな質感の岩山が並んだもので、上から見るとこのように、南側はフランスパンというか魚肉ソーセージというか、焼き上がる途中のホルモン…に見えなかったらスンマセン。
でも、地平線ばかりの荒野を走ってきたところから、これが現れるとやっぱり驚きますよ。
入場ゲートがあったり、看板がいくつもあるウルルと違って、突然巨大な影が現れるので存在感はあります。
昔、ここを歩いた時は、ハエがブンブン飛んでいて大変だったけど、今回はそれほどでもなく。
数時間歩けるトレッキングルートがあるんだけど、今回はひとつ坂を登り、谷間に出たところで引き返すことに。
というのも、今日でマット&カイ親子とはお別れ。
彼らは、またエアーズロックリゾートから同じ日程で戻るのだが、我々は数日後に帰国。あっという間だねえ、母さん。驚いちゃうねえ(めちゃくちゃ古い)。
今日の午後には、バスでアリス・スプリングスへ向かうのだ。
そんなわけで、超ショートカット。
歩いていたら、こんなお友達と遭遇(笑)。
まだきっと子供なんでしょうね。
爬虫類好きには、たまらない出会いでしょう。
風の谷、というだけあって、左右を山に挟まれたトレッキングルートにさしかかると、メチャクチャ強い風が。
あまりの強さに身体がよろめくんだけど、谷の間というか盆地みたいなところにくると、ピタっとおさまります。
平和な感じですよね。
そして、いよいよマットたちともお別れ。
日本にも縁があるので、今生の別れ、という雰囲気にはなりませんけど、そう簡単に会える距離じゃない。
が、マットは言う。
「来年はさ、娘とブルーム(西オーストラリアの海っぺりの街。ここもキレイ)に行くから、来年は娘を連れておいでよ」
これが普通のオーストラリアのおとっつぁんなんだろうね。
普段は我々日本人と同じように毎日働くマットだけど、生活はユルいというか、おおらかだよね。こんな風に生きられたら幸せなんだろうな、と思います。
マットたちと別れ、我々はバスの停留所でアリス・スプリングス行きのバスを待った。
すると、一台のバスがやってきた。
「何処へ行くんだい?」
「アリス・スプリングスですけど」
「出発はこっちじゃない、リゾーートの方が出発場所だよ」
「だって、受付の人、キャンプ場のレセプション近くのバス停で待てって言ってましたよ」
「いやいや、違うから。しょうがないなあ、乗っけてやるから、こっちに乗りな」
なんて感じで騙されて強盗にあう日本人観光客になってたまるか、と思ったけど、そこのバス会社の運転手だったし「じゃあ、お言葉に甘えて」と乗せってってもらう。
で、そっち側で待っていて、バスが来たのはいいけど、本来、そこで2名拾うはずが伝わっていなくて「お客さんが来ない」というちょっとした騒ぎに(笑)。
運転手が連絡してくれよ、そういうことは。
気が利くのか利かないのか分からない人たちです(笑)。
とりあえず、アリス・スプリングス行きのバスに乗れたので良しとしましょう。
そういえば、オーストラリアで長距離バスに乗るのは久しぶりというか、一方通行の旅で乗るのは初めて。
昔、シドニーの家に居た時、F1のメルボルン・グランプリを観に行くのにバスで行った、という程度。
「そこはバイクで行くんじゃないの?」
と突っ込まれそうですけど、何せ、その時に乗っていたZ1R初号機は、いわゆる「つかまされたボロ」でして。
キャブOHしてもしょっちゅう停まるし。
バイク屋からは「確実に死ぬ」とまで言われたし。
エアーズロックリゾートからアリス・スプリングスまでは440kmくらい。
オーストラリアの感覚だと「バイクだと4時間くらいかな」と思っちゃいますけど、冷静に考えると仙台~箱根くらいある。
さらに北へ500km行くとクイーンズランド州を往来する道路と繋がるテナント・クリーク、1000kmくらい走ると北の都、ダーウィンにつながる。
このままダーウィンへ行けたらな…
と、ぼんやり考えていたら、キングス・キャニオンへ左折する曲がり角でバスが停車。
「ここで降りる人もいるのかー」と乗客を眺めていたら、我々も乗り換えだった!
あやうく、またキングス・キャニオンへ向かうところでした(笑)。
上の写真は長距離バスの座席に置かれた手作りのガイドブック。
アリス・スプリングスについて、イロイロ書かれている。
「フィンケ・ラリー」が紹介されていますが、ワタクシがここを訪れた時、北陸在住のライダーがレースに参加しておりました。
カリフォルニアのBAJA(バハ)に参戦した選手が「危険」というくらい過酷なレースのようです。
200kmちょい走ったところ、ちょうどオーストラリアを南北に走るスチュワートハイウェーに出会ったところ、エルデュンダ・ロードハウス(Erldunda Roadhouse)で休憩。
昔もここに立ち寄ったんだろうか。
当時、この道を走った頃は気温が低くて、エンジンに手をかざし、タンク・バッグに挟んだ板チョコをかじりながら走っていた。
そんな記憶を頭に浮かべながら、ロードハウスをぶらつく。
ロードハウスには、エミュー(ダチョウの仲間)がたくさん飼われている。
こんなに飼育してどうするんでしょう?
食べるんでしょうね、きっと(笑)。
運転手からエサをもらって食べさせるんだけど、クチバシがものすごい力。
「手で与えると痛いから、柵の上に置いてやるといいですよ」と運転手。
しかし、それじゃあ、絵にならないでしょう。
というわけで、我々は、口移しで食べてくれるかチャレンジ(決して真似しないで下さい)。
「くれいじーめーん」という声が聴こえてきます。
懐かしいフレーズです。
Z1Rでグラベル・ロードを走ると言ったら、BMWに乗ったオッサンにそんなこと言われました。
ビーエムオヤジ、いまも元気でバイク乗ってるかな。
バスは再びスチュワートハイウェーを北上。
そして日没前、ついにバスはアリス・スプリングスに到着。
エクスペディアで予約していたホテルにチェックインしたんだけど、ここで問題が。
実は日本から予約したのは1泊だったのだが、アリスへの移動日が1日前倒しになったので、エアーズロックリゾートから1泊追加したのだ。
それが、予約されていない、ということに。
アプリから支払っているのだから、確認してくれ、と話をしたが、受付の女の子では通じず。
とりあえず、ここでは支払を済ませたのだが、帰国後、ずいぶんと面倒なやり取りをして解決。
解決、というのはソリューションじゃなくてクロージング。
正直、納得のいかない終わり方だった。
とりあえず、気を取り直して夕飯へ。
アリス・スプリングスに来たら、絶対に寄りたかったのがこの店。
OVERLANDERS STEAK HOUSE
20年前、たしかガイドブックか何かで見つけたレストラン。
カンガルーやクロコダイルなど、オーストラリアならではのメニューを食べさせてくれる。
で、必ず「何処の国から来たか」と聞かれ、席に着くと国旗をテーブルに置いてくれる。当時の写真が、これ。
よく見るとベルトに携帯電話をつけています。
昔の携帯はとてもじゃないけどポケットには入らなかったのよ(笑)。
今回もどこから来たのかと聞かれたので「日本から」と答えたら「日本の何処か?」とさらに突っ込まれる。
実は、昔から「日本の何処から?」と聞かれるのが、やや苦痛でして。
東京や大阪といった大都会はもちろん、北海道はそれ自体が有名。横浜、名古屋、福岡、京都も外国人が良く訪れている。
しかし、東北となると…いちばん大きな100万都市の仙台でも微妙な感じ。
というわけで、いつも「東京から400kmくらい北上したところに…」と場所の説明をするんだけど、この店のマダムは
「知ってるわよ、行ったことあるもの」とおっしゃるじゃないの。
聞けば、甥子さんが、仙台で英会話教室の講師として働いているという…何たる偶然か。
「実は20年前、この国を旅している時、ここに来たんですよ」
と昔の写真を見せると、マダムも驚きながら歓迎してくれた。
食べるのは、もちろん20年前に体験した「あのメニュー」だ。
クロコダイル、ラクダはもちろん、バラマンディなども。
ただ、ちょっと気付いたのが、エミューが外れている。
オーストラリアならではの食材だし、さっきもロードハウスで沢山飼われているくらいだから、珍しいものじゃないはず。
そんなに人気がなかったのかな?
聞けば、エミューの革は皮革製品の素材として、高級ブランドが買占めたお陰で価格が高騰、食材としては使えなくなったのだそうだ。
残念。
でも、この内容、ボリューム…言うことなし。
そして、このデザート。
結構腹いっぱいなんだけど、別腹というヤツね(笑)。
普通ね、ここでデザートがマズかったりすると、それまでの喜びも半減する。
特に昔からオーストラリアのスイーツって反則じみた甘さというか「甘いのが食べたいんでしょ、ハイハイ、砂糖ガンガンぶちこんでおきましたよ。満足?」という感じのテイストで、慣れぬうちは頭痛すらしてたんだけど…
これは、マジで美味い。
腹いっぱい、もう持ち帰って明日食べます、くらいの満腹感でも美味い。
人生における暫定1位をあげてもいいくらい。
ようやく会えたシェフには「次に来るのは、また20年後?私は生きてるかな?」と笑われたけど、そういうことを言われると、もうこれを糧に頑張ろう!という気持ちになりますよ。
がんばれ、自分!今度は家族全員を連れていけるように(笑)。
とにかく、アリス・スプリングスを訪れたら、絶対に訪れるべき店です。
ぜひ、機会があればお試しを…!