Kawasaki Z1R、Z1、Z1000 、Z1000Mk-2などの空冷カワサキのトラブルシューティング | 空冷Zとの戦い Kawasaki Z1R ブログ

空冷カワサキ トラブルシューティング

Z1R-II

Z1に始まりGpz1100で幕を閉じた(Zepher1100も含めていいかもしれない)カワサキの空冷4発だが、最初のZがロールアウトしてから50年。
半世紀もたてば、そりゃあちこち傷んでくるのは、当たり前。
ただ、当時の純正部品だけで動いている個体は相当少なくて、エンジンは何度も開けられ、電装系もリファインされていることの方が多い。
寿命をリセットされているようなもので、そういう機体は見た目が古くても、それほど調子が悪くない、という場合が多いハズ。

それでも、どういうわけか、急に動かなくなることもある。
いくらセルモーターを回しても火が入らないこともあれば、スターターボタンを押しても無反応、ということもある。
今回は、経験を踏まえたトラブルシューティングをお伝えしようと思う。

キーON(イグニッションキーを回しても)、無反応

差し込んだキーを回しても、何も起きない。
もちろん、スターターボタンを押しても無反応(これで火が入れば、単にインジケーターランプの故障となるのだが、そういうケースは少ないと思う)。

昨日まで何ともなかったエンジンが、こうなると萎えるどころか、激しく動揺する。
いくつか原因が考えられるのだが、手っ取り早く診断できるのがバッテリーの電圧測定。

ゼロ、ということはないだろうけど、これが9Vだの10Vにまで落ちているとセルは回らない。
が、10Vでも残っているならばインジケータランプくらいなら点灯するはず。
メーター類が多くて照明の数が多いZ1Rでも、ランプはつく。

テスターで計測しても12V以上あるなら、バッテリーの不具合は「除外」できる。

考えられるのは断線もしくは短絡(ショート)。
「どこが?」とはなかなか判断しづらいが、走行中の振動によって断線したり、ショートしていた配線やカプラが徐々に熱を持った末に断線してしまっている可能性がある。
もちろん、フューズの破損も「断線」と同じなので、しっかりとチェックする。

また、昨日までピンピンしていたのであれば、バッテリーターミナルにつける端子が緩んでいた、なんてこともあるかもしれない。

キーONでも変化がないのは、かなり異常というか致命的な場合も多い。

インジケーターは点灯するが、セルモーターが回らない

IGキーONでインジケーターは点灯する、ウィンカーなども点灯する、ホーンも鳴る。
セルだけが回らない、という場合。
いちばん疑わしいのはバッテリーの状態だ。
灯火類やACC電源に繋いだ電装品が動いているのに?と思うかもしれないが、セルモーターを回すだけのパワーが不足している場合がある。
スターターリレーから異音がした時も、バッテリーの電圧低下が考えられる。

手っ取り早いのが、クルマに繋いでエンジンをかけるとか、ジャンプスターターの利用。
これでエンジンがかかればバッテリーの異常(寿命)という確率が高い。
「昨日まで普通に走ってたんだけど?」
と思うかもしれないが、月日と共にだんだんと弱るだけではなく、不摂生をした人間のようにガクンと急激に弱ることもあるらしい。

もし、購入してから間もないのにそうなってしまったのであれば、バッテリーの異常は結果であって、ほかにいろいろな原因があるのかもしれない(レギュレーター、ステーターコイル不良)。

バッテリーの異常が見受けられない場合、スターターリレーの異常やスターターロックアウトスイッチの配線不良などをチェックするのだが、一応、最初に見て欲しいのはキルスイッチ。

「んなバカな」と思うかもしれないけど。
普段はそんなことしないのに、キルスイッチを切ってエンジンの火を落とし、そのままキーを抜く。
すっかり忘れてエンジンをかけようとするも、さっぱり反応しない。
視界にオフになったキルスイッチが入っているのに、見えていないんだよね…
落ち着いて見渡すことも、重要。

バッテリーの電圧も正常、キルスイッチもOFFになっていないなら、答えは二つに絞られる。

「どこかの断線」か「スターターリレーの異常」

「どこかの断線」は、いちいち調べ上げていたらキリがないから、ハンドルスイッチからスターターリレーを介する配線を調べ上げる。
先にも書いたように「クラッチを握らないとエンジンがかからない」スターターロックアウトスイッチの配線が断線していたら、クラッチを握っていてもエンジンはかからないし、スターターリレーにつながるギボシ端子が外れていたり、メイン系のフューズが外れていてもダメ。

サービスマニュアルを踏襲した各部のチェック方法は、こんな感じ。
バッテリーとモーターに繋がる、あの太い線を外して、テスターで抵抗値を計る。
どこも問題が無ければ、抵抗値は無限大(繋がっていない状態)だが、イグニッションスイッチを入れて、クラッチを握り、スターターボタンを押した瞬間、リレーがカチっと反応して抵抗値はゼロになる…ハズ。

ちょっとコワイけど、スターターリレーをすっ飛ばして、バッテリーとスターターリレーを直結して、セルモーターを回してみる。
回す、というよりもモーターが反応するかのチェック。

勢いよくモーターが回るとビビるけど、これで回るなら、リレーが壊れている可能性が高い。
ほかのパーツと比べたら、まだそれほど価格的にも高額ではないので、交換してみる。

純正部品も東南アジアで製造されるように…産業の空洞化が心配(いまさら)。

空冷カワサキの純正にこだわるのであれば、この辺りが良いかと。
とか言いつつ、自分が使っているのは水冷カワサキの純正品
どっちでもいいんだけど、リレー本体にフューズが搭載されているのと、形が四角形なので、おさまりがよい。
こんなことをあまり言ってはいけないのだけど、Amazonあたりで「スターターリレー」と探せば、何だか信用できるのか怪しい安価なパーツがやたらと登場する。
形は似ているけどね、実際の性能は謎なので、そこは自己責任で。

で、モーターが回らない場合は、当たり前だがモーターが故障している。
ブラシだけの問題なら、交換でどうにかなるだろうけど、全体的にオカシイというか、根本的にアウトな場合は、モーターを探してくるしかない。
旧型Zのモーターは既に廃盤になっているので、純正品が欲しい場合は、21163-1143。
税込価格で¥49,390(2021年10月現在)。
ちなみに2015年くらいの時期だと\40,700(税込み)だから、相当上がっている。
これ、賢い人だと、もう少し交換頻度が高くて、価格が高いものを購入しておいて寝かせておくんだろうね。
だって4万円が6年ちょいで5万円になる…ざっくり20%ちょい上がるわけだ。
すべてのパーツが同じ比率で値上げされるか分からないけど、値下がりすることはないので、お金に余裕がある人は純正部品を保有すればいい。

セルモーターは回るのに、エンジンに火が入らない

カション!カション!とクランキングするのに、火が全然入らない。
スパークプラグの火花も飛んでいるような、飛んでいないような…

何はともあれ、チェックしてほしいのは「燃料コック」と「ガソリンの残量」。
空冷カワサキだと燃料計を装備している車種の方が少ないけど、アナログにせよデジタルにせよ燃料計がついている車種の方が多いはず。

だからといって燃料計をむやみに信用せず、ガソリンタンクのキャップを開けて、ライトで内部を照らしてみる。
「ガス欠なんて初心者じゃあるまいし」
と思うかもしれないけど「満タンに近かったハズ」という記憶があやふやで、ガス欠になりかけたこともある。

トラブルシューティングは、とことんまでトラブルやトラブルの可能性をつぶしていくのが解決への近道なので「ガソリンはちゃんと入っている」という物証を得る。

ガソリンが明らかに入っていることを確認できたら、燃料コックをチェック。
これまたOFFになっていれば、ガソリンはキャブに流れていかない。

ところで…
「自分のバイクはインジェクションなんですけど…」

というアナタは、もはやこのページを読んでも仕方ないし、現行車両はクルマもそうだけど、ブラックボックス状態なので、下手にいじると前よりも状況が悪くなったりする。
調子が悪くなったら、バイク屋に行くのが吉。
アタシの弟子なんかもバリバリの現行車だから、こっちが教えてもらう感じだけど(笑)。

燃料コックがONまたはプライマリーになっていても、古いマシンなんかはストレーナーにサビだの埃がたまっていて、キャブまで燃料がいかないこともある。
また、自分も失敗したことがあるのだが、整備の時に使う

バッテリーのチェック

この場合、いちばん疑わしいのは、バッテリー。
「セルも回るのに?」
結構、みんな驚くのだが…
たしかに、モーターを回すパワーはある。
ところが、スパークプラグに火を飛ばせない、というパターン。
セルを回した時の降下電圧が10V台まで落ち込んだら、プラグに火を飛ばすまでのパワーは残っていないと判断してもいい。

この場合、補充電で復活するようなら試してみて、時間がないようなら、先の方法と同じだが、ジャンプスターターなど、電圧を上げてセルを回してやる。

これでめでたく火が入れば、万事OKかもしれないが「何でバッテリーが弱ったのか?」を考察した方がいい。
バッテリー自体の経年劣化なのか、ETC、USB電源、グリップヒーターなどの電装品による電力消費量が多いのか、レギュレーターが正常に動いていないのか、ステーターコイルからの供給不足が起きているのか、どこかで漏電しているのか…心配材料はそれなりに出てくる。

ちなみに、格安バッテリーは寿命が早いと言われるけど、補充電など日頃のケアを欠かさずやってやるとそれなりに使える。
逆にトップブランドのバッテリーでも運が悪いと驚くほど短命、ということもある。
「じゃあどっちを買えばいいの?」ということにもなるが、確率的にはトップブランドのバッテリーの方が安心できる。

外出時に持ち歩くモバイルバッテリー、あれもマトモに動かない事例たくさんあるでしょう?
数年前、某国で大陸産のバッテリーを買ったら、すぐに使えなくなりました(笑)。

アタシのようにZ1Rに関するブログ書いていると失敗もネタになるんだけど、普通の人はそんなのただのストレスでしょう?
壊れたバッテリー、どうするの?
とかもう一回注文したとして、ちゃんとしたものが届くか不安になったり…

そういうのをひっくるめると、トップブランドとは言わないまでも、タイムセールで放出するような商品はやめて保証がしっかりしたものを選ぶと良いでしょう。

スパークプラグのチェック

バッテリーもこないだ変えたばかりだ!電圧を測っても問題ない!
というのであれば、スパークプラグを外してセルモーターを回してみる。
プラグに火が飛んでいるようなら点火系は、生きている。
火花が弱かったり(強い弱いを判断するには、日ごろから見ておかないとダメ)、火花が飛んだり飛ばなかったりしたらイグニッションコイルや関連する配線(ハイテンションコード)、コイルに火花を飛ばすよう指示するスイッチ(ゼットだとエンジンの右側。DOHCと書いてるヤツの中にある)が怪しい。
プラグまで電気が流れているかどうかをチェックするには、プラグチェッカーが使いやすい。

キャブレター、燃料系統の異常

プラグに火は飛んでいる、それでもエンジンに火が入らない、というのであれば、そもそもエンジンに混合気が送り込まれているのかが疑わしい。

つまり、キャブレターからガソリンタンクの間に異常がある、ということになる。
プロショップの職人によって精巧に組み上げられた美しいエンジンでも、ガソリン(混合気)が一滴も流れなければ、火が入らない。

当たり前じゃん、というかもしれないけど、自分を含めて中途半端に知識のあるDIYサンメカライダーというのが本当にダメで、思い込みが激しいから「こないだチェックしたはず」「前はこんな風にならなかったはず」なんて視野狭窄に陥ってしまう。

たとえば燃料コックに異常があっても「ONにしたから大丈夫」と思い込む。
先にも書いたけど、ストレーナーにゴミ(ガソリンタンクのサビだったり、何かの拍子に入ってしまった異物)が詰まれば正しい量の混合気は供給されない。
かなり確率は低いけど、燃料コックの機能に不具合が発生して、ONの位置に回しても内部ではOFFのままだったりするかもしれない。

自分も経験があるが、整備用のサブタンクで整備中、ホースの取り回しが悪く、適正量のガソリンがキャブに供給されなかった、ということもある。

「あれ?おかしいな」とスターターボタンを押し続けているうちに、それまで正常だったバッテリーがどんどん弱っていって「やっぱりバッテリーがおかしかったのでは?」などと迷走してしまう。

そういう失敗を経験してイロイロと覚えていくんだけど、後から振り返ればこそであって、トラブルの真っ只中にいる間に達観する余裕はない。

というわけで、いろいろな不具合のある空冷カワサキですが、楽しく乗るためには、日々のメンテナンスだけじゃなくて、お飾りにしないで時々は乗ってやって「いつもの調子」というヤツを常に感じておくことが重要かと…

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