まずは、ダメな大人らしく言い訳、弁明から始めさせてもらいたい。
前に購入したヘルメットは1999年とか2000年とか。
その前が1996年購入だから、メーカー推奨的なペースは守っていた。
それがどうだ、いまは20年も同じヘルメットを被り続けている。
劣化して飛んでいった樹脂パーツもあるし、ボロボロになった部分もある。
これを被って死傷しても「アンタが悪い」と言われて終了。
数年ごとにヘルメットを買い替えているライダーも大勢いるだろうが、何年も同じヘルメットを使っているライダーも少なくない。
理由は「劣化が目に見えない」からだ。
野菜や果物のように叩くと「腐った音」もしないし、塗装の膜がひび割れて、見た目が無惨になるわけでもない。
結婚して子供が生まれて、趣味に思うようなお金と時間をかけられなくなると、ところどころ無頓着になってくる。
子供が小さいうちは、バイクで遊んでいられないから、車検を切らしたことは何度もあるし、それこそ数年間、ほったらかしにしていたこともある。
車検を取って2年間で数百kmしか走らなかった期間に愕然としたこともある。
「それじゃ『バイク乗り』じゃなくて『バイク持ち』じゃん」
と嗤うかもしれないが、世の中の「おとっつあん」や「おっかさん」の多くは、大なり小なり自分の時間を仕事をはじめ、子供たちや家事に回している。
「何か月ぶりかでエンジンに火を入れたよ」なんて会話は決して珍しくはないはずだ。
そんな大人たちが、次にいつ乗るか分からないバイクのために、4万も5万もするようなヘルメットに金を遣うことはない。
バイクに乗れるラッキーな日は、戸棚の奥、下駄箱の上に乗った埃だらけのヘルメットを引っ張り出し「昼飯までは帰ってくる」なんて言い訳しながら、いそいそと出かけるのだ。
「じゃあTAKEDAさんも、そういう苦労をされていたんですね…」
と、言われると、そこまで深刻ではないんだけど(笑)。
何年も前から「買う、買う」と言って家族を用品店につき合わせ、ヘルメットを試着したこともあった。
フルフェイスじゃなくてジェッペルにするか、とか、システムヘルメットもいいな、とか。
予算やら何やら検討を重ねた結果、選んだのが…
タイトルにもあるようにAraiのRAPIDE NEO(ラパイド ネオ)。
購入価格は40,980円。
昔はヘルメットの定価は30,000円台だったけど、いまじゃ店舗割引価格で40,000円以上。
給与は変わらないのに物価は上がって大変ね…
※2022年11月現在、戦争やらコロナ禍の影響で実売価格は50,000円以上!
欲しいもの、必要なものはすぐにでも買った方がいい。
で、RAPIDE NEOの特徴はというと…
頭部にエアの取り込み口のない、つるりとしたシンプルな帽体。
シールドの両端が剥き出しで、AraiというよりはSHOEIっぽい(現にRAPAIDE NEO以外のフルフェイスはシールドの両端はカバーで隠されている)。
直線的なデザインの口元は、SIMPSONのBANDITにも似ている。
「レトロモダン」「オールドスクール」というコンセプトで、在りし日の雰囲気を踏襲しながらも、快適性や安全性は現代の基準に合わせている。
バイクメーカーも、ZやCB、カタナなど70~80年代のマシンを「リブート」、現行車両として販売しているので、それに合わせて使ってもらいたいのかも。
我が家のバイクはZもDTも1980年代生まれ、乗り手も地味なカッコで乗り回しているので、RAPIDE NEOのような「抑えたデザイン」の方が違和感はない。
実は今まで原チャリの半キャップ以外、自分で購入したのは全てArai製なのはSNELL規格だから。
20年以上も同じヘルメットを被っていた人間が言うセリフか!と言われそうだけど(笑)。
SNELL規格とは、アメリカの『スネル記念財団』が制定するヘルメットの安全基準のことで、検査基準は5年ごとにアップデートされるため、メーカーもスネル規格を得るためには、製品を製造販売するたびに最新の規格に合格することを求められる。
AraiだけではなくSHOEIなどもSNELL規格に準拠した製品をリリースしているが、ラインナップが最も多いのはArai。
他メーカーのヘルメットも試着してみたが、内装のフィット感はAraiが一番。
Arai以外はダメという意味ではなく、「つるしの状態(工場出荷状態)」で自分の頭の形に合っているから。
いまの時代は便利なもので、メーカーが内装のパッドの厚みを小刻みに用意してくれているので、デザインや性能は気に入っているので、少しの差でフィットしないので購入を断念する…なんてケースが少ないハズ。
まともな用品店にはシューフィッターならぬヘルメット購入アドバイザーが居るので、相談してみると良いかと。
実際、これまでの(といっても20年前の製品だが)ヘルメットと、どれくらい違うのか。
並べて比較してみた。
若干ではあるけど、RAPIDE NEOの方が大きい。
最初、R(角度)の違いだけかと思ったかど、頭頂部の高さも違うし、後頭部の厚みも違う。
ほんの少しだが、ヘルメットでこの差になると大きい。
被って手を回してみると、若干だが高さを感じる(プラシーボ効果かもしれないが)。
「大きいな」という感覚は「重くないだろうか」という不安になる。
スペックよりも大事なのは感覚。
まずは、素直に被ってみる。
新品ならではの内装が当たっている感覚はあるものの、窮屈な感じはない。
視界もフルフェイスなので制限されるのはしょうがないが、開口部がやや広いのでスペック的には従来品よりも広いことになっているはず。
次にベンチレーション。
頭の上に開口部がなく、シールドの上端を開閉して後頭部へ流れていくようだが、残念ながら早春の時期では「良い悪い」は分からない。
同じように口元のインテークも「開いた、閉じた」は分かったけど、これが快適かどうか判断できるようになるには、もう少し季節を待たないといけないですね。
ワインディング、直線、ストップアンドゴー、クルージング、ほぼすべてのシチュエーションで100kmくらい走ってみたけど、心配していた違和感もなかった。
敏感なライダーなら、小さな違いをつぶさに感じ取るのかもしれないが(笑)。
シールドの開け閉め、ここは慣れないせいで手間取ることもあったが、そのうち慣れるだろう。
そういえば、RAPIDE NEO、つるつるした帽体を撫でてやると、注意して触らないと分からないほどだが、僅かな凹凸…もはや凹凸とは呼べない、木材でいえば「目」のような凹凸を感じる。
帽体の水研ぎが手作業なので、どうしてもごく僅かな差が出来るのだろうけど「手で造りました」という部分が見え隠れして、ちょっと嬉しいかも(笑)。
それから、この時点では気づかなかったけど、いま流行りの「インカム」を装備するため、内装にも工夫が凝らされている。
たとえば、スピーカーを装着するチークパッド。
標準的なスピーカーのサイズに合わせて発泡スチロールの部分が凹んでいて、ちゃんとおさまるようにつくられていたりする。
そのうち、スピーカーやマイクが標準装備されたヘルメットも販売されるんじゃないでしょか。