コールドスリープ中のZ1R。
バッテリーも外して封印したので、どんなに天気が良くても冬の間は乗らないと決めた。
そのかわりDT125RとZZR250をアシに。
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12月半ばの写真。
調子は良い…と思いきや始動性が悪化。
走り出せばいいのだが、初っ端がいまひとつ。
DTやZならキャブをバラしてやるところだが、スイパラZ号はノーマルエアクリーナーボックスがついているので、外すのが大変。
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バッテリーを抜いて、エアクリーナーボックスを数cm下げて、そのわずかな隙間を使って外す。
これ、外すのが大変ということは、つけるのはもっと大変なのよね。
考えただけでぞっとするが、眺めていても事態は好転しないので腹をくくる。
車体からキャブレターを外す
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とりえあずスロットルワイヤーを外す。
戻す時、混乱しないようペイントで目印をつけてみたのだが、パーツクリーナーや洗油をぶっかけているうちに消える公算大。
次に、ラジエーターから分岐してキャブレターにつながるホースを外す。
クーラント液が漏れるけど、あまり気にせず、そっと栓をする。
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一時的な処置として、空を向けてネジ+テーピング。
個人的には、このキャブ+冷却水というのが、どうも好きになれない。
言うほど有効性があるとは思えないし、こいつの取り回しのせいでP/S(パイロットスクリュー)が調整できないし。
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ケーヒンの開発会議でもめなかったんだろうか?
「こんなところにホース取り廻したら、P/S調整できませんよ?」
「さしたる問題じゃないでしょ。新機軸の試みだし、やっといて」
とかいってGOサインが出たのだったら悲し過ぎる。
次にチョークワイヤー、アイドリングアジャスターを外して、キャブとほかにつながるものが無くなったら、インシュレーターを止めるバンドを緩め、ゆっさゆっさとキャブをゆすって取り外す。
この辺は車種を問わず同じ感じで。
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外れたところ。
燃焼室が丸見えになった通り道には、詰め物を入れておく。
ふと思ったけど、EX250系のインシュレーターって割と長い?
Zは短いせいか揺れ幅が少なく、キャブを組み付ける際はパワーが要るのよね。
キャブレター本体をバラす
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無事に外れた。
外すだけなら、ついてるネジを外すだけなので、たいてい誰でも何とでもなる。
問題は、さんざんバラした後に、元通りに組み付けられるかどうか。
外したはいいけど、入らない。
何処に何をつけていたのか忘れてしまった。
今は便利な時代なので、外しながら写真なり動画を撮影するのが鉄則。
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アホみたいだけど、こうやって、ひとつひとつ名札をつけて写真を撮影しておく。
後々「なんだっけ?」とフリーズする時間がもったいないんで。
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この手のホースのパイピングなんかも、気を抜くとどれがどれか分からなくなる。
一度、手をかけて理解してからはスムーズなんだけどね。
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どこから出て、どこについているのか、ちゃんとマーキングしておいた方がよい。
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一見、左右対称なパーツも油断大敵。
目印をつけて撮影して、どっちが右か左か後から分かるようにしておく。
この写真では既に片方のフロートチャンバーを外しているが、ここについているプラスネジはナメやすい。
どういうわけか親の仇がごとく強烈なトルクで締め付けられていた。
こっちも負けじと増えてしまった体重をかけてドライバーを回す。
さんざん目にしてきただろうけど、ネジを外す時は押しつける力が8、回す力が2。
何なら9.5:0.5でもいいくらい。
外れそうにない場合は、渾身の力で押し付け、ついでに回す、くらいがよい。
それでも歯が立たないなら、炙るか、あきらめてネジザウルスか。
やっとの思いで外したネジはダメになっていることが多いので、発注リストに加えるとよいでしょう。
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新品を入れる公算があってもなお、現状把握のためP/Sの戻し量は記録しておく。
外したパーツを気筒ごとに分けておくのはパーツの再利用だけじゃなくて、気筒ごとのコンディションを知っておくため。
驚くべきことに、片方のパイロットスクリューにはOリングが入って無かった。
それがカブリを誘発しているのか分からないけど、要らないOリングはないので。
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洗浄
バラせるところまでバラしたら、洗浄。
気筒ごとにバラそうかとも思ったけど、同調とるのがDIYでは出来ないので(バキュームゲージがない)、いつものようにジェット類を外して終了。
クリーナーだけでは効率よく落ちそうにないので、今回も恒例の温泉で洗浄。
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特性温泉は、水に対して100ccに対して10gの重曹を入れて作った飽和重曹水。
これを沸騰させると、重曹の一部が炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)となり、強力なアルカリ性になる。
多くの油脂汚れは酸性なので、良く落ちるらしい。
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重曹なし、ただのお湯でも油脂汚れはかなり落ちる。
ブラシが届かない入り組んだ部分の汚れも落ちる、もしくは落ちやすくなる。
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かなり真っ黒。
スロットルのスプリング?あの辺にたまった汚れが、かなり落ちたイメージ。
蒸発した分、お湯を足して徐々に重曹濃度を下げていく。
重曹自体も乾くと汚れのようにこびりつくんで。
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次にただのお湯で煮る。
すすぎというか、重曹を溶かしていくイメージ。
この辺までくると、もう汚れは浮いてこない。
キャブレターの再組立て
動いていたはずのキャブレターが不具合を発生させる原因は大きくふたつ。
経路が詰まって、規定量の燃料と空気が燃焼室に届けられない。
もうひとつは、経路がガバガバになって(以下同文)。
経路が詰まるのは、ガソリンタンクのサビ、吸気する際、埃などを一緒に吸い込んでいるためで、こういう場合はたいてい先にオーバーフローしたり、フロートチャンバーに粉っぽい汚れが蓄積しているのですぐわかる。
経路のクリアランス増大は、常に動くパーツ、それと接触するパーツが摩耗することで発生する。
エンジンのピストンリングをイメージすれば、実感しやすいと思う。
キャブレターは、直接ものすごい温度や圧力がかかるわけじゃないし、実際、バラしても目に見える変化が乏しいから、まだまだ使えると思いこんでしまう。
どのくらいの摩耗が、どれくらいの影響を与えるのか分からないけど。
予算にもよるけど、PJ(パイロットジェット)とPS(パイロットスクリュー)、Oリングは最低限新品にしておきたい。
あと、目に見えて分かりやすいのがフロートバルブ。
円錐形のラバーのところに段がついてたり、お尻のぴょこぴょこ動くところ、あの動きが渋いとオーバーフローの原因になる。
今回、そろえたパーツは以下の通り。
パイロットジェット
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となりにメインジェットが並んでいるけど、KITACOの製品。
純正品よりもお買い得なので、重宝している。
PJはクリーナーにドブ漬けして、一生懸命清掃しても、いまひとつ。
穴の裏側にこびりついた汚れが落ちないせいなのだろうか?
疑心暗鬼になるより、数百円で新品を入れた方が精神衛生上よいので。
2024年12月時点でKawasaki 純正品 92064-1050 は税込み\869。
KITAKOは¥553。
4気筒でそろえると、そこそこの金額差。
メインジェット
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そんなに傷むわけじゃないから、セッティングを変えない限りしばらく使い続ける方なんだけど、左右の気筒であまりにも違う使用感だったので、買い替え。
バラしてみて分かったけど、片方だけ妙にパーツが新しい。
どうせなら、2気筒一緒に新品入れたらいいのに。
Kawasaki 純正品 92063-1009 \715
KITACOは¥417
パイロットスクリュー
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写真だとワッシャとOリングの順番が逆ですね。
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ものすごく先端部分が痩せたり摩耗することは無いと思う。
これも0.1mm違うけど、測り方かもしれないし。
目に見えて変化するのは、Oリング。
これは、カピカピのカチカチになって痩せるから、ここは要注意かも。
でも、上の写真のようにニードルの部分に汚れがこびりつくから、気分的には一新した方がいい。
サービスマニュアルでは16014-1054の設定だけど、16014-1081で買うとスプリング、ワッシャー、Oリングがセットで同じ価格(\1,287)。
なので16014-1081で発注したほうがいい気がする。
ニードルホルダー ニードルジェット
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ニードルホルダー、そんなに傷むか?と思うけど、過去にMJNのホルダーが経年劣化でバッキリ折れた経験があるので買い替え。
驚いたのがニードルジェットの価格。
こんな小さいくせに、と言ったら怒られるかもしれないけど、なんと1個3000円近くする!
さんざん迷ったけど、2025年には3000円を超える可能性もあるんで発注しておく。
ニードルジェット 16017-1277 \2,805
ホルダー 13091-1713 \1,628
この2つだけで9,000円もするんだから、本当に泣けてくる。
フロートチャンバー Oリング
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何てことのないパーツなんだけど、買うと高い。
Kawasaki 純正品92055-1222だと\792。
それでもZZR250自体、タマ数が多いのと他の車種と共通なので、この値段で収まっている。
DT125Rなんかは、とんでもない金額だったりする。
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だからといって液体ガスケットはカンベンしてほしかった。
もしかしたら、Oリングだけだとガソリンが漏れ出すんだろうか?
そんなことある?今からすごく不安だったりする。
ホース類
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触った感じ、そんなにカチカチじゃないけど燃料に使うパーツは買い替え。
サービスマニュアルでは、複数個所で共用になっているホースもあるけど、一か所ずつ買う必要はない…ところもある。
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これなんかは420mmあるので、複数個所で使用しても余る。
ただ純正品は高いのでサードパーティーの製品に変えるといい…場合もある。
というのは、内径5mm/外径9mmに使えるかと思って購入したこのホース。
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内径は全然問題なかったんだけど、たった1mmの外径の差が問題。
キャブの脇についたエアカットバルブの太いサイズ、これがキャブの隙間に入っていかない(笑)。
絶妙な差なのよ。
ここは純正かもう少し細いサイズのホースがよいでしょう。
いよいよ組みつけ開始…といきたいところだけど、寒くて外に出たくない!
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というわけで、もう少し暖かくなってから、つづく!!