以前、何度か披露した3Dプリンターによる部品製作。
いまやプリンター自体も安くなってきて、どんどん身近になっている。
一方、3Dプリンティングのキモと言えるのが…「3D CAD」を使いこなす力。
これを手なずけられないと、そもそもモノを作れない。
デジタルツールを使いこなすのが難しい、という層もいるだろう。
かくいう自分も、イラストレーターやフォトショップなどデジタルツールは苦手。
3D CADもコツコツやれば身につくんだけど、歳を取るとなかなかそのスピードがね…
そこを助けてくれるのがChat GPTやGeminiに代表される生成AI。
数年前、付き合いのあった大学の先生から「マジで役に立つから使ってみて」とオススメされて使用していた。
あの頃は、画像生成もかなりいい加減だし(それでもエポックメーキングではあった)、久しぶりに会う知り合いとメシを食いに行くからいくつか店をピックアップして、といっても実在しない店を列挙するなど「こんなのホントに役立つの?」と疑問だった。
が、たった数年で使い勝手は飛躍的に進化。
ハルシネーションと呼ばれる、もっともらしいウソ、誤情報の生成もかなり少なくなった。
プロンプトといってユーザーが命令や指示を出す内容を具体化したり、禁止事項を明確にする…たとえば「情報を生成する際は、情報源を明らかにせよ」「良かれと思って想像して創造するな」という具合に注釈を入れると、こちらの望む回答に近づいていく。
先の3D CADの話に戻る。
生成AIに「こういう部品を作りたいので、それをつくって」とお願いすると、なんとお望みの形状で作ってくれるのだ。

これが実際の画像。
何を作っているかというと、オイルクーラーのメッシュホースに使うセパレーター。
ラフスケッチ、寸法などを箇条書きにすると、Open SCAD用のコードを生成してくれる。
プロンプトがストライクゾーンにビシっと決まると、一発でこういう感じで図面を引いてくれる。
もちろん、Solid Works や Fusionなどをグリグリ使いこなせるのであれば、この程度の形状は10分とかからず作れるし、もっと複雑な形状も作成できるだろう。
が、ここで大事なことは、生成AIと人間の力、どっちが有能だ?という比較ではない。
3D CADが扱えなくても、生成AIが同じことを代わりにやってくれるかどうか、という挑戦だ。
「組み合わせた後、ボルト&ナットで固定したいから、頭を出ないようにして」
とか
「ナットの部分は6角形にしてナットがきれいにおさまるようにして」
と指示すると、上の図のようにちゃんと座繰りを入れてくれる。

また「二つのパーツを合わせた時、ずれないようにノックピンを着けてちょうだい」といえば、親切にもその形状を作ってくれる。
これを3D CADでやるとすれば、どの位置に、どの深さのピンと穴を入れるか、基本的には自分で指定しなければならない。
このあたりのこともAIが気を利かせてくれるし、もちろん、あえてオフセットしたいなら
「何mmずらして」
といえば、うまい具合にやってくれる。
では、いよいよ実際にプリントしてみる。
3Dプリンターを使ったことがある人なら分かると思うが、設計したものを印刷する場合、重要なのが印刷方向。
上についたノズルから下に向かってフィラメント(原料)を吐出して、積み上げることによって成形するプリンターの場合、最初に出てくるのが下の方。
たとえば、横から見ると△のような形のパーツの場合、三角の底辺から始まり、最後は頂点で印刷終了、となる。
だが、モノによっては▽のような形状のパーツもある。
この場合、何もない空中には印刷できないので「サポート材」と呼ばれる足場のようなものをつくり、その上に印刷していく。
プラスチック模型のランナーのようにも見えたり、薄い板の場合もある。
当然、サポート材はロスになるため、できるだけサポート材の吐き出しを少なく向きを変えるのがコツである。
また、印刷方向は完成品をどのように使用するか、でも変わってくる。
たとえば、棒状のパーツを柱のように立てて印刷するとする。
構造的には薄い円板が何百枚と重なったモノといえる。
熱で溶かされて密着してはいるが、横からの負荷には弱い可能性もある。
もし「出来るだけ折れないように造りたい」というのであれば、横に寝かせたような形で印刷していく方がよい。
木材の「目」と同じロジック、といえばイメージしやすいだろうか。
実際の例がこちら。
印刷方向によって「目」の出方が違う。
これは機能性パーツじゃないから「見た目」を優先にしたいので、これだと表面に積層痕がたくさんあって見栄えが悪い。

一方、こちらが90℃横にして印刷したバージョン。
表面がスベスベしていて、見た目はよい。

くどいようだけど、高負荷がかかる箇所で使用する場合は、木材と同じように、どちらの「目」が強いか、どちらに強くすべきかを最大限考慮する必要がある。

完成したパーツを取り付けてみる。

遠目に見る分には全然問題ないし、積層ピッチを変えることによって、より節や目を目立たないようにすることも可能である。
3Dプリンターも、どんどん安くなっている。
おそらく数年単位で性能が向上して、選べるフィラメントもどんどん増えていくだろう。
廃盤になったパーツを作る手法も、DIYレベルにまで降りてくる(実際、いいところまできてる)。
特に期待しているのが、3D スキャナーの普及。
随分と価格が下がったけど、おそらく、どんどん手に入りやすくなるハズだ。
10年後くらいになったら「欲しかったあのパーツ」のstlデータをスワップする機会が増えたり、もしかしたらシリンダーヘッドもDIYでつくれる時代になるかもしれない。
20年後くらいにはシンギュラリティも起きるらしいし。
そこまで生きられるよう、頑張って働いて、体力つけて、健康を維持しましょう(笑)。


