オーストラリアよりZイズムを込めて 2018 Day 1

Australia 2018

Perth to The Breakways

朝4時起床。
外はまだまだ暗いが、出発準備。
走り出してそれほど経たないうちに、携帯電話の電波がどんどん弱くなるのが分かる。

麦畑や牧場を走り抜けながら、20年前の記憶を呼び起こしてみる。
季節は違ったが、この辺りを走っている時は、いつも視界の左側にはこんな風景が拡がっていた。

8時を回った頃、パースから250kほど走り、Kulinという街に到着。
街の入り口には、Tin Horse Highway(HWY)という看板が出ている。
すなわち「ブリキの馬」だ。

走っていくと、道路わきにドラム缶などで作られたオブジェが現れる。
やっつけ仕事のようなものもあれば、結構、手の込んだものもある。
昔から競馬で有名な観光地らしく、とにかく「馬」をテーマにしたオブジェが並んでいる。

最初は馬をかたどったものだけだったのだろうが、だんだんレベルが上がってきて、ブリキのオス馬が「プレイボーイ」ならぬ「プレイホース」を読んでいるなど、ユーモアを追求し始めている。そんなオブジェが数十体、道路わきに並んでいるので、見ていて飽きがこない。
行き交う他の車たちも、写真を撮ったりするので、車間距離には十分ご注意を。

10時ごろ、玉子だのパンだのを購入するのにHydenにストップ。
ハイウェーの両脇に街が拡がるのは、広大な国の特徴だ。
ミートパイやらコーヒーを飲みながら休憩する。
この辺りから、徐々に「ヤツら」の気配が…
何かというと…ハエ。
内陸部を走るにつれ、どんどん多くなってくる。
昔もコレに随分悩まされたが、今回はどうなんだろう。

11時頃、昔、立ち寄ることが出来なかった「Wave Rock」に向かう。
その名の通り、まるで大きな波が一瞬にして岩になったような形をしている観光地だ。
と、その前に「カバのあくび(Hippo’sYawn)」という、もうひとつの名所へ。

最初、ヒッポズヤゥンというのが聴き取れなくて、何のことか分からなかったんだけど、なるほど、これでカバのあくび、というわけか。
昔から有名なところだったのに、何で来なかったんだろう。

ここに着いた頃には、もうたくさんのハエが襲来!
写真には映っていないけど、どこから来るのか、ハエの大群がやってくる。
Wave Rockの上は広大な景色が拡がっているのだが、子供たちは、その上に転がる岩石群に興味津津。
確かにこっちの方が面白いのかも…

Wave Rockを堪能した後、再び車をハイウェーに戻す。
ブルーグレーのアスファルトが、だんだんと褐色になっていくのが分かる。

ガイドブックらしきものだが、走行距離の目安として使っていた
グラベルロードをぶっ飛ばします

とりあえず、今日の目的地でもあるThe Breakwayという景勝地に到着。
直訳すると壊れた道?
砂が固まって出来たような脆そうな岩と多肉植物が地面を覆う不思議なところ。
風の浸食でこういう形になったらしい。
昔は1号線(海岸線に沿って造られた道)ばかり走っていたので、こういう奥まった処にある場所を知らなかったんだろうね。

ここには、一応、トイレもあるが(ボットン便所、というヤツだ)、トイレの中には、何だか危なさそうなクモが…クモマニアのセガレは狂喜乱舞してたけど(笑)。

ここでキャンプしようか迷ったが、もう少し離れた森の中にキャンプサイトの看板があったので入ってみる。
幹線道路から、少し入ったところにあるが、うるさくなくていいだろう。
少し壊れているけど、コンクリートで造られた焚き火用の場所もある。
「じゃあ、ここに泊まろうか」
キャンパーを展開、キッチンを出したり、椅子を並べたり。
子供たちは、薪拾い。

日本の森というと里山を含めた山間部に拡がっているが、こちらは平地なので落ちている木も拾いやすい。
小さい枝を拾っていたら「そんなんじゃ1時間で燃え尽きちゃうよ」とマットにダメ出しされる(笑)。
最後は根元から折れた大きな木を引きずってきて、それを燃やすことに。

「着火剤は…?」
と聞いたら、マットが「これだ」とディーゼルが入ったジェリ缶を(笑)。
さすが、豪快です。

陽が落ちる前に夕飯を食べることにする。
キャンプ初日のメニューはハンバーガー。
マット「行きつけの肉屋」で作ってもらったパティを炭火で焙る。
炭火焼ハンバーガー、といったところだろうか。


陽が落ちかけた頃、空を見上げたセガレが声をあげた。
「木が光っている」
地平線に沈みかけた太陽に照らされた木々の葉が、きらきらと輝いていたのだ。
葉が雨で濡れているわけではない。
もしかしたら、ユーカリのように葉から油分が出ているのだろうか。
マットもこんな光景は見たことがないという。

おまけに、この静けさ。
人工の音が何ひとつない。
日本では、人里離れた山の中を歩いても、案外遠くから車が行き交う音が聴こえてくる。
風に揺れる枝の音も、燃え尽きた薪が崩れる小さな音も何もかもが鮮明に浮かび上がってくる。
「そんなのここじゃ当り前だけどなあ」
とマットは言うけど、こんな当り前のことが、小さな我々の国では貴重なことなんだよね。

そして星空。
やや雲がかかっていたけど、空には無数の星が輝いていた。
流れ星も見つけることが出来て、最高のスタートじゃないでしょうか。

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