New consanguinity 新たなる血族…その銘はスイパラZ

雑記帳

少し前から「良いな」と思っていたカスタム・スタイルがある。

地肌むき出し、もしくは暗い色の薄汚れた感じのガソリンタンク。
ハンドルはセパハン。
シングルシートでテールカウルは無し。
タイヤはブロックタイヤ。
カフェレーサーとスクランブラーを足して2で割ったようなスタイル。

著作権の都合上、画像は掲載しないが、これらを検索してもらえばイメージが分かるかも。

『ドラゴンタトゥーの女』でリスベットが駆るスクランブラー。
『The Batman』で若いブルース・ウェインが乗り回している4気筒のマシン。
『ウォーキングデッド』でダリルも同じようなテイストのマシンに乗っている。

本当はZ1Rをそういうテイストにしたかったんだけど、ガソリンタンクを丸タンクにして、メーターパネルを取り払ってセパハンに、シングルシートにしたらテール側のフレームをぶった切らないといけないので、不可逆的カスタムになる。
相応の覚悟がないとイカンのと、多分、フル装備ツーリングするうえでは不向き。
なので、そこは手を出せなかった領域。

ある日、何気に某SNSを眺めていたら、なかなかカッコいいマシンに乗っている方がいた。
リバーマークをあしらっているからカワサキ車がベースなんだろうけど、アルミフレーム元はフルカウルのマシンだろう。
どうやらZZR250の外装一式を取り払い、灯火類を替え、シングルシートにした様子。
そしたら、このZZRを売りたいという投稿が。

いいなあ、これ、近くだったら見に行きたい。
せめて東北地方だったら何とかならんだろうか?
メッセージを送ってみたら、何と同じ県!
話がとんとん拍子に進み、試乗させてもらえることに!

ZZR250、実はよく知らないバイク。
スペックはこんな感じ。

水冷2気筒4バルブDOHC
最高出力は35HP(26kw)
タイヤは前後17インチ
後のNINJA250にも受け継がれ、他社の現行車両(MT25など)の諸元とほぼ一緒。
 
元をたどればGPZ250R(1985年)のエンジンそのもの。
空冷GPz1100が終焉を迎えた年に生まれたわけで、何だか感慨深い。
1990年代にZZR250のパワーユニットとして搭載され、何と17年間も販売され続け、NINJA250にも使われている。
ある意味、プレシジョン・ベース、ストラトキャスター、レスポールみたいなもんだ(分かりづらい)。

早速、峠道で乗らせて頂くことに。
エンジンと純正キャブのCVKはストックのまま。
それでも、前オーナーは随分キャブを清掃&調整したらしい。
 
存在感のあるマフラーからは250CCとは思えない大迫力のサウンドが。
見た目、そしてエギゾーストノートに気圧されそうになる。
が、乗ってみると、意外にジェントル。
ラフにアクセルを開けても、タイヤが乱暴に地面を蹴り上げたりしない。
純正CVKキャブも「マイルドさ」に貢献している。
 
250ccだから非力か?と言われたら、そんなことはない。
適切にギアをかきあげていけば、あっという間に制限速度に到達する。
が、これは直線道路の話。
真骨頂は、ワインディングにあると思っている。
ZZRはツアラーとしてカテゴライズされているが、スペック的には現行のスポーツ車とそんなに変わりはない。
水冷2気筒エンジンもタイヤサイズ(17インチ)も同じで、重量とホイールベースはどうかな、と。

【重量】

ZZR250 168kg
NINJA250 172kg
YZF-R25 169kg

【ホイールベース】

ZZR250 1400mm
NINJA250 1410mm
YZF-R25 1380mm

重さもエンジンの出力もほとんど変わらず、人間でいう股下的なホイールベースもほぼ一緒。
ギア比だのスプロケの歯数だの、細かいところをいえばキリがないけど、極端な違いはないだろう、と。

気になるのは純正CVKキャブのレスポンス。
この20年くらい負圧キャブ車から遠ざかっているので、マイルドな雰囲気をどう感じるのか。
何年か前、オーストラリアで乗らせてもらった友人のカスタムZにはCVKがついていて、そんなに悪い印象はなかったが…
 
負圧キャブに対するネガは、アイドリング時にレーシング(アクセルをあおる)して、スロットルが閉じる時にゆっくりと針が落ちていく様子を見ているからだと思う。
気持ちは分かるけど、この状態でキャブがどうしたこうした、といっても始まらない。

大事なのは、実際に走っている状態でどんな雰囲気なのか。
早速、公道でテストさせてもらう。

まずは大人しく直線と緩いコーナー。
分かってはいたけど、CVKだからといって何もネガなところはない。
CVKだろうとFCRだろうとTMRだろうと、結局セッティングが出てないと使い物にならないわけで。
レスポンスにも違和感はないし、立ち上がりもいいし、パーシャルも安定、ギアを落としても大丈夫。
わざと回転数とギアをアンマッチさせて「ギアのミス」を再現しても、ついてきてくれる。

ストックのCVKにエアクリーナーボックスがつけたままなのが良かったのかもしれない。
負圧キャブの場合、エアクリーナーボックスを抜いてパワーフィルターにするとセッティングが出づらい場合がある。

ワインディングを走っても、普段、Z1Rでは絶対に使わない領域もまんべんなく使える。
大排気量車は、どうしても抑制して走らないと、よそのクルマやガードレールに突き刺さってしまうわけだが、割といいところまで使える。

小排気量車の125ccだと「限界まで使い切ってしまう」こともあるのだが、250だとまだ余裕がある。
17インチのタイヤも、ヒラヒラとワインディングを縫うように走ってくれる。
 
20分~30分、峠の登りと下り、クルージングを試乗させてもらって出た答えが「即決」。
ルックスはワイルド&タフだが、走ってみると2気筒ならではの扱いやすさ。
気負うことなく、上から下まで気軽に楽しめる。

ただ、Fフォークのシールが傷んでいたので、これは直してもらい、さらに自分の好みだがフォークブーツを入れてもらう。
これがあると、あっという間にスクランブラー風。

そして、我が家にやってきたZZR250。
水冷パラツインZなのでスイパラZとでも呼びましょうか。

チャームポイントは巨大な2本出しサイレンサー。
それから、両サイドのバッグ。
前オーナーいわく電装系などの内部パーツを隠すための手段というが、なかなかいい味を出している。
実際、バッグとしてもちゃんと使えるので、車載工具などを入れてもいいかもしれない。
 
もうひとつ気に入ったのが、我が家のZ1Rにも採用した水冷Z系のハンドルスイッチ。
これなら、間違えることもないでしょう。

バッフル。
なかなかワイルドな音量だけど、住宅密集地なうえに年配者が多数住んでいるので、やや肩身が狭い。
それに「音」で乗るわけじゃないんで、ここは抑えめにしておきましょう。
前オーナーからバッフルも頂いているので、これを差してやる。
バッフルを差しても、存在感が薄れるわけじゃないので。
ちなみに、半径100mには数名のライダーが暮らしているけど、みんな悪魔のような排気音のマシンばかり(笑)。
信じられないことに、我が家のZがいちばん静か。
純正マフラーだしね。

あると便利なのは、スマホホルダーとUSB給電ポート。
ZについてたヤツをスイパラZに移植して、Z1Rには新しい方を(笑)。
スマホホルダーのような商品って入れ替わりが激しいと思いきや2年くらい前に買ったのが、まだ売られていた。

ディストピア感あふれるこのマシンには似つかわしくないけど、個人的には必需品。
250CCなら高速道路も乗れるし、ということは遠出もするだろうし。

デジタルネイティブがあふれる今、こんなことを言うのもナンセンスなんだろうけど。
ほんの10数年前、スマホがここまで便利じゃなかった頃、タンクバッグに入れた地図、道順を走り書きしたメモが頼りだった。
それでも道を外れることなんてしょっちゅうだったし、よほどのアクシデントじゃない限り、それもまた旅の楽しみだった。
 
あまり昔がどうのこうのいうとよろしくないので、便利なものは取り入れましょう、と。
USB給電ポートはスマホホルダーと同じ銘柄。
いつも思うんだけど、こういう電装品って、なぜかいつも管ヒューズなのよね。
コスト削減のためなんだろうけど、もし破損したとして管ヒューズを入手するのは大変。
なので、ここはブレード交換した方がいいんだろうね。

USB給電ポートは蓋にスイッチがついていて、開閉でスイッチがON/OFFされる。
なので、バッ直でもいけるけど、蓋を閉め忘れる、何らかの原因でスイッチが入りっぱなしになると暗電流でバッテリーが上がってしまう。
配線加工的にはバッテリー直の方が楽なのだが、ACC電源から取ることに。

迷いどころは設置方法。
ZZRは「セパハン」なので、取り付け場所が限られてしまう。
ホルダーは「見やすさ」「操作しやすさ」何よりも「安全」が大事なので、あまり変なところに着けるとよろしくない。
USBも、あまりアクセスしにくいところに取り付けると、今度はスマホとUSBケーブルの取り回し問題も発生する。

お茶を濁した感じもあるけど、これでどうでしょう。
付属のミラーホルダー用ネジを利用して取り付け。
ところが目隠し蓋を兼ねるボルトが短くてつかない。
M10 P1.25の長いボルトを買って取り付け。

最後になったけど、名義変更。
ここで名変手続きしたのは、いつだったっけ?
昔、勤めていた会社でクルマを買って、それを名変したりしたのが最後だった気が。
そんなことまでやらされていたんだった…

名義変更に必要な書類は以下の通り。
ナンバープレートがついてて自賠責も入ってる、いわゆる「生きているバイク」の場合です。

1.譲渡証明書(最近は印鑑不要)
2.軽自動車届出済証(車検証みたいなヤツ)
3.自賠責保険証明書
4.買った人の住民票

ナンバープレートが変わらなければ、本当にシンプル。
相談窓口に行くと「これは鉛筆で書いて」「これはペンで書いて」という具合に指示してくれる。

基本的に書類を見ながら書けば間違わないでしょう。
ちょっと面倒くさいのが「住所コード」の記入。
冊子を見ながら書くのだけど、郵便番号とも違うので、探し当てるのに苦労する人もいるかも。
記入が終わったら、指定された窓口へ行って待つのみ。

混雑具合にもよるが、30分~1時間くらいで出来上がる…気がする(笑)。
譲渡されてから15日以内に名義変更をしなければならないので、お早めに。

自賠責保険の名変は「やらなくても法令違反にはならない」というけど、前オーナーの個人情報が記録されているので、これも名変。
やり方は多分どこも同じなんだと思うけどWebから申請用紙をDL、新しくなった車検証もどきをコピーして「このバイクは、もう自分のモノになりました」と送ってやると新しい自賠責保険の証書が送られてくるらしい。