2024年05月14日 Z1RのTMキャブをメンテする

メンテナンス

まだ購入して数年のTMキャブ。
特に問題はないが、こないだ初めてオーバーフローした。
大袈裟なものではなく、数秒に1滴、こぼれ落ちる程度。
その日はかなり暑く、陽の当たる駐車場に数時間停めていた。
なので、ガソリンタンクの内圧が上がり、キャブのフロートに影響したんじゃないかと…
いよいよTMキャブのオーバーホールか?

以前、ニードルホルダーが外れてプラグが真っ黒こげになったことがあるしね。
たまには点検してみましょうか。

キャブを車体から取り外す

まずはフィルターとホースを外す。
ホースを戻す時、いつも「どっちがどっちだっけ?」と悩むので、今回は目印をつけておく。

近年の鬼門、スロットルワイヤーのタイコ。
丁寧に外してやる。
ナットを緩め、なるべくワイヤーにテンションをかけないようにして外すのがコツ。

ナットがはまっている部分、Uの字ではなくΩの字なので、引き抜いて外す。
ちゃんと挟み込めるなら、横から出し入れできるように削った方が便利なんじゃ…?
という衝動が…でも今回はやめておこう。

キャブを外したら、まずはガソリンを抜きましょう

フロートチャンバーの燃料を抜いて逆さにしたところ。
抜けたと思っても結構な量のガソリンが入っていることが多いから、注意しましょう。
万が一、引火したら大惨事なので。

Oリング(ぜんぜんOじゃないけど)にも劣化は見られない。
再使用しても大丈夫そう。
フロート内部にも目立った埃や異物もない…と思う。

メインジェットは調整するわけではないので、ゆるみが無いことだけを確認。
クリーナーを軽くふいて、様子を見るだけに留める。

以前、ひどい目にあったホルダーの緩み。
ヨシムラを通してMIKUNIに製作してもらった特注新品。
だが、この後は依頼を受付けなかったらしい。
ニードル自体は既に生産停止だからTM用MJNは、もう新品は手に入らないはず。
これが壊れたら…いよいよインジェクション化だろうか?

いろいろ微調整

開度ゼロの状態でスロットルバルブがそろっているか、確認する。
本来はスケールで計測する。
けど、光に透かして同じ高さなのか、じっと見つめる。
アニメの作画にはうるさい方なので、そういう感じで違いを見分ける。
実際、一か所の隙間が大きかった。
屋根を外して調整用のネジを緩めて合わせてやる。

油面の高さもそろってたのでラッキー。
そう簡単に狂うものじゃないだろうけど。

インオペ事案発生

フロートバルブを確認しようと、圧入しているピンの撤去を試みる。
が、抜けない。
ここを抜くための特殊工具もあるのだが、太刀打ちできない。
力任せに叩いて柱を折ったら元も子もないので、今回はインオペで。
オートポンチが効くらしいので試してみるか。

写真がかなりのピンボケで申し訳ないが、パイロットスクリューの点検。
ド素人の自分がセッティングなんておこがましいが、戻し量は半回転以下。
マニュアルよりは全然少ない。
半回転しそうなところで止めている。

ゼロ地点に締め込む時、力任せに締め込んだら最後、先端が折れて摘出不能になる。
こうなったら素人が抜くのは100%不可能。
すぐに業者へ問い合わせるべし。
ああでもない、こうでもない、とやっているうちに重症化していく。
業者も
「折れたら、手を出さないで持って来てくれると時間も料金も安くおさまる」
と言ってたし。

そもそも閉めて使うんじゃなくて、開けて使うんだから。
こういうアナログなパーツは、乗ってみてナンボ。
「バラす前はこうだった」といっても変わることはある。
季節によっても変化するしね。

ついでにお色直し

汚れちまった結晶塗装を剥がしにかかる。
剥離剤がほとんど残ってなかったので、オーブンで焼いて塗膜を破壊。
大まかに剥がしたら、あとは電工でキレイに剥がしていく。

塗装は10年くらい前に購入したVHTのスプレー。
しつこいようだけど、昔は1500円くらいで買えたが、いまじゃ高級品ですよ。

取説によれば「200°F(93°C)で20分間焼きます」とのこと。
だが、この加減は難しい。
耐熱塗装のように、200℃くらいに放り込んでもいいならオーブントースターでもOKだけどね。

しょうがないのでヒートガンで地道に暖める。
あとは時間が経つと塗膜が明らかに硬化していくのが分かるので、余白というか余分なところの塗膜を突っついて確認するとよい。

フィルターのロゴも汚れてるので、スプレーで塗りつぶす。

屋根だけが、やけに鮮烈。

テスト走行

昼飯を食べに行くついでに200km弱ほどテスト走行。
メインジェットの領域、中速から高速域は実用速度(5速・3000RPM~4000RPM)で異常なし。
パイロットスクリューが受け持つ低速(低回転)から中速域も問題なし。
アイドリングスクリューはいじっていないけど、いつもより低い感じで安定している。
190km走ったところで給油したら9リットルで満タン。
TMキャブでリッター21kmはノーマルキャブよりも燃費いいかも。
オーストラリア走ってた頃、リッター20kmは丸一日、3000以上回さないで直線道路を走ってた時に記録したくらいだし(そのノーマルキャブがダメだったんでは?というツッコミは無しで)。