2020年12月05日 Z1Rの純正ホイールをチューブレス化

Z1R-II

カワサキ旧型Zオーナーの悩みのひとつに
「キャストホイールなのに、チューブレスを履く時にはチューブが必要」
というのがある。

「悩んでるのはお前だけだ!」
「オレ達は、とっくの昔にホイールを換えてるぜ!」
「Zオーナーの面汚しが!」
なんて怒号が飛び交いそうだけど(笑)。
そうなのよ…貧乏性というか、ホントに貧乏なのよね。

バイク用品店で指をくわえながら「ああ、いつかこんなパーツをつけたいな」とため息をつくアナタ。
ホームセンターで資材をそろえDIYにチャレンジするアナタ。
とうとう100円ショップで「もうこれで大丈夫じゃない?自己責任!」と開き直っているアナタ。

そんな方々なら読んでて面白いと思うけど…
空冷Zとの戦いの作例を参考に、あれこれ作るのはご自由にしてもらったらいい。
ただ、すべて自己責任でヨロシク。

というわけで、本題に入りましょう。
今回のテーマは、タイトル通り『Z1Rの純正ホイールをチューブレス仕様に変更してみる』です。

昔、このZ1Rで、オーストラリア一周ツーリングしたんだけど、旅に出る直前、シドニーのバイク屋へ行って
「よっ毎度!おじさん!チューブレスいっちょう!」
「よろこんで!でもね!これチューブレスホイールじゃないんだよ!」
とか言われて。

マンガだったら、顔に縦3本線が入っただろうね。
「え、だってキャストホイールだよ?チューブレスでしょ?」
「バカモノ!空冷Zがチューブレスになったのは、Z1100GP以降じゃ!」
とは言われなかったけど、そういうことなのね。

「え?じゃあ、道のど真ん中でパンクしたらどうしたらいいの?」
「そりゃあ、幸運を祈るしかないんじゃない?運が良ければ、空気入れながら走れないこともない」
実は買った当時、フロントのチューブが破損していて、個人売買で引き取った後、空気入れを抱えながら、何度か道端で空気を入れながらバイク屋に辿り着いたのだった。
たかだか5kmくらいの距離で3回くらい空気入れを使った記憶があるから、バイク屋まで50kmだと30回。
150kmだと90回。
空気入れの方が音を上げるんじゃないのか、というレベルね(笑)。

今だから言えるけど、結局、そこはスルー。
一応、空気入れは積んだけど、パンクしたら終わりよね。
幸い、本当に単なる幸いでタイヤは一度もパンクすることはなかった。
まあ、いまなお、バイクでパンクしたことがないんだけどね。

そういうわけでZと共に歩んだ20数年、ずっとチューブ入りでチューブレスタイヤを履いていたという(笑)。
でも、こういうことで悩む人は少ないと思われる。

何故かというと、だいたい旧車乗りたちはお金持ってるから。
「負圧キャブ?ダメダメ、強制開閉ね」
「エキパイとマフラー?ノーマルなんか重くてダメだよ。チタンね」
「あんなホイール、ラジアルも履けないじゃん。マグ鍛にして」
という感じで、あれよあれよという間に、ストックパーツが高級社外パーツに置き換わる。

「ホントに必要なの?」というパーツにエンスーたちは何万円も使うからね。
あんまり言うと「オメエ、オレのこと書いたな、この野郎」と怒られるので言わないけど(笑)。

そもそも、何でZのキャストホイールはチューブレスタイヤを履けないのか。
誤解がないように言うと、たいがいのホイール…それこそスポークホイールでも、サイズさえ合っていればチューブレスタイヤを履くことはできる。

現に最近まで履いていたブリヂストンのBATTLAX(バトラックス)はチューブレスタイヤだし、フロント19インチ、リア18インチという大昔のサイズでもチューブレスタイヤがラインナップされている。

何が問題視されているか。
パンクなどで空気が抜けた時、気づいてすぐに停車してレスキューを待てばいいのだが、そのまま走行して、タイヤが潰れてホイールから外れたタイヤが内側にめり込む(ビードが落ちる、耳が落ちる、と言われるヤツね)といったシチュエーションだ。
外れて変形したタイヤが、チェーンなどの駆動パーツを巻き込んで重大なトラブルを誘発しかねない。

それを防止するために、チューブレス専用ホイールには一本リブ(ハンプ)が走っていて、タイヤの端を挟み込むように作られている。
ものすごい力、それこそタイヤチェンジャーと同じレベルのパワーが襲い掛からない限り、空気が抜けてもホイールからタイヤが外れることはない…と言われている。

とはいえ、タイヤのカタログを見ればわかる通り、チューブレスタイヤと称する商品でも「WT(with tube チューブ入りでも使えます)」と表記されているモデルもある。
「えー、でもチューブ入れてたって、空気が抜けたら結局アウトでしょ?」と思ったアナタは鋭い。

そのため、チューブとは別に「ビードストッパー」なるパーツが用意されている。
リムの内側に取り付けるパーツなのだが、万が一、タイヤの空気圧が一瞬でゼロになったとしてもストッパーのおかげで、タイヤは内側にめり込まない。
オフ車で山遊びする人達は、意図的に空気圧を低めにしてタイヤがよりグリップするようにするんだけど、それが可能なのも、このビードストッパーがあるから。

そんなのZに入れてんの?
と思ったけど、ホイールには、ちゃんとビードストッパー用の穴が開いてるのね。

ちゃんとマニュアルの表紙にも(笑)。

ガーン!気づかなかった!!

というわけで、純正ホイールに乗っている皆さんはチューブ、できればビードストッパーも忘れずにつけましょう。
それがイヤなら、良いものが。


どうすか?
前後あわせて約20万円。
安い金額ではないにせよ、チューブタイヤが旅先でパンクしてレッカーしてもらったとか、その辺のトラブル全般を20万円(タイヤ代別)でクリアできるなら、安くない?
何かトラブって修理費に20万円以上かかるなんてザラだしね。
これだとラジアルタイヤも履けるでしょ?
なので、純正ホイールをチューブレスにするのは、やめましょうね。
タイヤメーカーの方に訊いても「絶対にやめた方がいい」と言われるんで。

で、今回、ワタクシが選んだのはミシュランのパイロットアクティブ。

昔、いつだかマカダムを履いたことがあったような…
自分の中では、ミシュランは「減りが遅い」というイメージ。
長持ちは良いことよね。

割とコスパに優れているブリジストンのBATTLAXシリーズは、BT45シリーズが廃盤になり46になったのはいいけど、少し値上がり。
自分では出来ない整備・作業をお願いしているMoto Garage Windsに見積もりを取ったら、そんなに変わらなかったのでミシュランをオーダーしたのであります。

ところで、ミシュランはフランスからやってくるのかと思いきや、製造国はチェコ。
製造年周でみると、2020年の6月ぐらいに造られているので、新品。

手際よくタイヤを外して、新しいタイヤを組むバイク屋さん。
ここはクルマも手掛けるので、この時期、スタッドレスタイヤの交換、販売で大忙し。
Zのタイヤ交換も「この時間で来てねー」と時間指定。

そんな忙しいバイク屋さんに頼むわけですよ。
「えーとですねー。リムの内側をピカピカに磨いて欲しいんですよ」
「…なんで?」
「何で?ってことはないんだけど、ピカピカにした方が気持ちいいでしょ?」
「やだよ、見えないところなんか、どうでもいいでしょ?」
押し問答の末、そっと耳打ちする。
「…また、そんなことを企んで…大丈夫なの?」
訝しがるバイク屋さんに、そっとパーツを手渡す。
何の変哲もないエアーバルブだ。
全部で4つ。
アルミ製なのでちょっと値は張るが、居酒屋で呑んで食うよりは安い。
それをリム穴に取り付け、あとはタイヤを組んでもらうだけ。

客の無理な注文にも、むしろ「無理だよね」と煽ると、職人魂に火が付く。
有機溶剤が脳内を駆け巡っているような笑顔で応えてくれるバイク屋さん。

というのは冗談で…真剣な眼差しに。
「リアは、今回コレで行きましょう!直進安定性はピカイチです」
「あの…ボクのタイヤは?」

「ヤフオクに出品したら、早速入札されたよ!」と別の常連さんが言えば、
「急いで組んで出荷しなくちゃ!評価が下がる!!」とバイク屋さん。
あの、ボク、これからクソ寒い中、1時間かけて帰るんですけど。

「そんなに慌てたってしょうがないでしょ。バランスも取らないとね~」
夕闇が迫る中、妙に作業がスローになってゆく気が。
そういやエアーバルブって振動で緩んだりしないのだろうか、と思うけど、それはチューブレスの社外品ホイールも同じで、一応定期的な増し締めをするようマニュアルに書かれている。
けど「そんなのやったことない」という知り合いも。

そして、フロントにビードストッパーが入っていないのは、何故なのか。
良く言われるように、路上のゴミ、デブリを前輪が拾い上げるのでパンクの確率が少ないからか(でも、昔、これを買った時にパンクしていたのは前輪だった)、あるいはチェーンはじめ駆動パーツを噛み込む心配がないからか。
もし、前輪が急激にパンクしてビードが落ちたら、チューブの有無は関係なくリスクは同じよね。

安全面であれこれ言うなら、チューブを抜いてチューブレスにするかどうかの議論ではなく、ビードストッパーを着けるか着けないか、でしょう(ビードストッパーを着ければ、おのずとチューブを入れるわけだけど)。
ラジアルの剛性がどれほどか分からないけど、エアが抜けてビードが落ちたら、ラジアルもバイアスも関係ないでしょ、と思うのだけど…実際、チューブレスにして耳が落ちた人いるんだろうか。

そして、チューブも長いこと乗っていないと、どんどん空気が抜けていくわけで(普通に2kg以下になる)、大事なのは乗車前点検。
毎日乗っていようが、週1だろうが、空気圧は要チェックだし、足りなかったら補充する。
それこそ、オーストラリアを走っていた頃は、毎朝のようにエアチェックしていたし。

店を出る頃には、雨足が強くなってきた。
天気予報では山沿いは雪がチラつくようなことを言っていたが、日中は10度くらいだったので雨で済んだ。
ウェアもユニクロの分厚いダウンとワークマンで買ってきたオーバーパンツで十分だった。
指先が雨で冷えたので、グローブは考えないとイカンかも…
でも、今日明日くらいで今シーズンはオシマイなんじゃないだろか?

翌日、朝からタイヤチェック。
触った瞬間から、しっかりしているのが分かる。
空気圧が減ったタイヤはタイヤの剛性はあるけど、押し返す力がないというか。
実際、走るかどうかと言われたら60%くらいでも走るんだけど、触ると全然違う。
こういう時代だから、あまりタイヤをベタベタ触るのは良くないけど、知っておいても良いかもね。
しかし、判断するのはゲージで。
海沿いのワインディングを走った後、内陸部に入り、ゆるやかなカーブが続く道を走る。
数値よりもやや偏平率が大きいのか、タイヤの形状なのか、少し車高が上がった感じ。
「タイヤを換えた」という気分のせいもあるのか、それとも少し高めの空気圧にしたせいか、やや角のある乗り心地。

でも、わざと急制動気味に停まろうとすると、消しゴムを机に押し付けたようにギュっと粘りのあるフィーリング。
パスタでいうところのアルデンテ?
表面はもっちり、中はしっかり芯が残るというのか…
マカダム以来のミシュランだけど、結構よいかも。
だんだん寒くなってきたので終了。

お金持ちならね、コンチネンタルのラジアルタイヤを履いてみたいけど。
それはお金持ちになるまでガマンしましょう(笑)。


80kmくらい走ってみた。
ヒゲは未だ残っていたけど、皮むき、慣らしは終了したんじゃない?

で、数日たった後の空気圧。
数値上では深刻な漏れが起きている様子はない。
気温なども関係するんだろうけど、これが大きく変わらなければ大丈夫なハズ。
旧車だろうが現行車だろうが、クルマと違ってちょっとの不具合が致命傷につながるので、運行前点検は大事。