過去のカスタム(と書けばカッコいいけど、怪しげな実験)で、PV数がやたら多い投稿について再度能書きをたれる、という企画。
オリジナルの投稿から20年くらい経っているので、ノウハウがアップデートされていたり、コンプライアンスについても非常に気を遣ったつもり(笑)。
毒気が薄れたかもしれないけど、そこはお許しを。
さて、今回、取り上げるのは「メインハーネス交換」。
実は旧サイトの頃から、定期的にDMでお問い合わせが来ます。
多分いちばん多いかも。
同じZオーナーとしては、分かりますよ。
乗り始めた頃は、どこに持って行っても大丈夫なんだろうな、と思っていたけど、実はそんなことはなくて、バイク屋さんもZばかり気にしてられないから、整備も修理もタマ数が多い現行車両が中心となるから、しょうがないんだけど。
さっさと本題入りますか。
Z1やZ2、FXとMk2は、比較的簡単に「ネタ」が手に入ります。
流通量が違うから、いわゆるサードパーティ各社も売りやすいんでしょう。
幸い、Z1Rもヘッドライト常時点灯型(US仕様)で1型(Z1000からの派生)は以前から販売しているので、ポン付けで行けるはず。
水色の丸ヘッドのZ1Rね。
ところが、Mk2ベースの2型、これが何をするにしても後回し。
ステムのオフセット量が対策されて走りやすくなり、Mk2ベースのエンジンで性能もアップしたはずなのに人気が無い。
人気が無いというより、タマ数が無い。
その貴重な1台を再起不能にしたのはワタクシですけど(笑)。
じゃあ、どうやってハーネスを加工したらいいのか、というと…
正解は750FXのハーネスです。
Mk2でもいいんだけど、なるべく忠実に再現したいのなら750FXがベターです。
ちなみに、諦めてほしいのがウインカーのオートキャンセラーね。
そこまでどうにかしたいのであれば、レストア屋に頼んだ方が確実かと。
オートキャンセラーはガマンしてもらえるのであれば、そこそこオリジナルを再現できます。
それでは、必要な材料。
メインハーネス
PMC、ドレミコレクション、PAMSなど有名どころが1万円台で販売している。
これはありがたい話。
PAMSのハーネスは購入したことはないけど、PMCもドレミコレクションも同じ感じ。
インジケーターハーネス
もし、キーシリンダーとハーネスがイマイチなら、これも交換しても良いと思うけどカギの本数が増えるので、そこがネック。
1本に統一できないこともないけど、そこは別のノウハウになるので省略。
メインハーネスについては、そんなに迷うことがないと思う。
お尻(テール)から考えれば、灯火類、アーマチュア(ステーターコイル)、セルモーターリレー、ウィンカーリレー、ハザードリレーなど、この辺は共通。
ヒューズボックスをどうするか、だけど、金があるならPAMSの水冷Zヒューズボックス改造版のハイパフォーマンスリレーを入れたら良いと思う。
メインハーネスよりも高額設定で笑っちゃうけど…いや、笑ったら失礼か。
これね、自分でやってみると分かるけど、ここまでに仕上げるのには、相当な創意工夫が必要だし、加工も大変。
よく商品化したと思う。
常時点灯ハーネスのモデルなら、IGスイッチ回す時、ヘッドライトも消えるから、なおのことオススメ。
ちなみに、魔改造チャレンジしたい方は、ヤフオク次第だけど1000円くらいで作れます(笑)。
これの欠点は重量。
単なるヒューズボックスとして十分だとしたら、この重さは不要かな。
中にリレーが何個も入っているので、それで重いのだろう。
ヒューズを多系統にしたいだけならHONDAのヒューズボックスが良いと思います。
それからステーターコイルとレギュレーターを結線する黄色の3本線。
これは撤去したらいいと思う。
我が家はPAMSの竹部さん直伝でステーターコイルにエポキシ樹脂でグロメットを固めて(これが10年以上漏れない)、リード線も直接レギュレーターに差しているから、途中で結線していない。
純正はご存知の通り、セルモーターの近くでギボシ結線なんだけど、これが熱であっという間に硬化するのよね。
ステーターコイルは故障や修理しない限り、開け閉めすることもない。
であれば、この部分にギボシをつける必要はなくて、どうしても外す用事があるなら、サイドカバーの辺りで大きめの3Pカプラでつなげばよい。
これなら、いちいちクラッチカバーを外してギボシをあらわにして、テスターを当てて…と。
ステーターコイルの線をバラし直したくないのであれば、ギボシのところは外れないように結線して、レギュレーター側で3Pカプラでつなぐとか。
これなら、点検の時、テスターも当てやすい。
燃料計
それから、750FXハーネスを使う場合、カレントリミッターに使用する配線が出ているハズ。
この配線はインジケーターまで伸びているので、燃料計のセンサー用にキープする。
「桃」「茶(ACC)」「黒/黄(アース、GND)」
この3色がカプラでまとまっているハズなので、バラしてタンクから伸びている2Pカプラに換えて、桃と黒/黄を使う。
桃を使うのは、ほかの配線といっさい交わることなく、メインハーネス前方の9Pカプラまで伸びているため。
たとえば、メーターとブラケットもFXやMk2に換えたので燃料計はキャンセルしているのであれば、ほかの用途に使えばよい。
茶が1本浮くので、キャブ後方あたりで何か電気を取り出したいなら、これを使うとよいでしょう。
IGコイル、バッテリー周辺の配線なども、ド素人の自分が迷ったことはないので、旧いハーネスと順番に差し替えていけば問題ないかと。
インジケーターハーネス
Z1R(欧州・豪州仕様)はパネルの上から順番に…
NEUTRAL ニュートラル
HIGH BEAM ハイビーム
OIL オイル
TURN ウィンカー
電圧計 照明
燃料計 照明
タコメーター
照明 2個
ブレーキランプ
ハザードランプ
スピードメーター
照明2個
750FX/Mk2
タコメーター
照明2個
右ウィンカー
ニュートラル
ハイビーム
オイル
左ウィンカー
速度警告灯
スピードメーター
照明2個
電圧計を作動させる2本の線は、バッテリーの白/赤から取っているので、ここから2本の線を独立させて引いたら良いと思う。
プラスに振れていれば、ステーターコイルとレギュレーターが動いている、という証拠らしいのだけど…
純正レストアにこだわるなら別だけど、ここは純正品じゃなくていいんじゃないかと。
管ヒューズ2本も使って純正品を動かすくらいなら、デイトナから発売している電圧計を入れた方が良いかと。
同じ理屈で、燃料計も換えたいところ。
燃料計はカレントリミッターのサブハーネスを利用。
ウインカーの表示灯は、Mk2/FXは右と左で独立している。
緑と黒/黄
灰と黒/黄
けど、Z1RはTURNひとつだけ。
これ、緑と灰をひとまとめにすればいい、と思って結線するとハザード状態になります(笑)。
正解は黒/黄を使わず、緑と灰でランプに繋ぐ。
「そんなバカな」と思うけど、スイッチ入れると極性が変わるので問題ない。
右ハンドルスイッチ
Mk2とZ1R、ここは、配線図上の違いはない。
パーツ自体も共通だったんじゃないか?
Z系のハンドルスイッチは種類も豊富、シックにリプロ品を使うも良いし。
1990年代はOW-01スイッチとハイスロ一択だったけど(すんません、やってました)、好きなモノを選んで付けたらよいでしょう。
ZX-9Rのスイッチを移植するのも楽だった記憶がある。
左ハンドルスイッチ
ウィンカーキャンセラーなど独自のパーツがついているZ1R。
これを再現するのは骨が折れるのと、オートキャンセラー自体に魅力が無いのでパスした(確か、購入した時も、ほぼ動かなかった記憶がある)。
こちらも、他車種流用もしくはリプロ品がオススメ。
配線図だけ比較しておくようにするので、ほかの車種から引っ張ってきたら良いと思います。
ハイ、ロー、ウィンカー、ハザード、ホーン、パッシング
これがあれば、あとは何とでも出来ます。
メインハーネスから左ハンドルスイッチに関わる配線はこんな感じ。
6Pコネクター
赤/黒(R/Bk) ヘッドライト(Hi)
赤/黄(R/Y) ヘッドライト(Lo)
緑(G) ウィンカー
灰(Gy) ウィンカー
橙(O) ウィンカー
黒/白(Bk/W) ホーン
単独の線
青(Bl) ヘッドライト(電源)
茶(Br) アクセサリー電源
橙/緑(O/G) ハザード
黒(Bk)スターターロックアウトスイッチ
この辺り、うまくまとめ上げられたら、メーカー、車種を問わず装着できるでしょう。
Z1Rだと個人的にはZRXのような最新モデルのスイッチでも良いと思います。
Z1など丸Zだったら、エストレヤあたりのシックなスイッチが合う気が。
個人の感想ね。
それからメインハーネスは新品でも、そこから先の配線が腐っていると、不調の原因になる。
自分でもリファインしたけど、IGコイル周辺の細かい配線、バッテリーとセルモーターを結ぶハーネスなどは、一新したい。
IGコイルの辺りも、そんなに複雑じゃないので、なるべく色を純正に寄せてやれば、しばらく使えるので大丈夫でしょう。
バッテリーとスターターリレーを結ぶブーツ付きの線、ここはリプロも出ている。
あんまり言うとPMCから怒られそうだけど、ここはもう少し安価でいいんじゃないかな、と。
ここに4000円(定価)払うくらいなら、1万円で別のパーツを入れたくなるのが人情。
でも、確実に劣化しているところなので、自作新造するなり、リプロ品を買うなり、はたまた他車種流用するなりしたいところ(我が家のZはZX-12Rから流用)。
アース(黒/黄)
自分でも、あちこちにアーシングを這わせたことがあったけど、それぞれのアース線(黒/黄)が、ちゃんとバッテリーのマイナスやボディーアースに落ちていれば、大丈夫。
と言いつつ、トラブルが多いのは、アース線の末端処理がうまく行っていないことが多いんだろう。
電装を弄っている人なら分かると思うけど、黒/黄の末端が余ったり、別の部分では足りなくなってくる。
しょうがないので、ギボシやカプラーで増やしたり、まとめたりするんだけど、これが「リスクポイント」になってくる。
あと、太い線、細い線にはそれぞれ理由があるので、高エネルギーが流れる箇所に細い線+ギボシだとボトルネックになる可能性があるので注意。
頻繁ではないけど、ホーンの短絡で全部シャットダウンするケースもあるので、同じようにアースと短絡には要注意。
バッテリー直
リレーを使った「バッテリー直の配線」はオススメ。
ヘッドライト、IGコイルのように大容量のエネルギーが流れる部分はハーネス内部を遠回りさせず、バッテリーからダイレクトに供給させると良いです。
ヘッドライトをLEDに換えて明るさを確保しても、さらに明るくなるので効果絶大。
ただ、市販の汎用品はサイズが大きいので、まともに動くこと、容量が明示されているのであれば、車輛から取り外したものでも良いかも。
IGコイルもヘッドライトもバッテリー直にする場合、必ずヒューズをかませることが大事。
配線処理でぶっ飛ぶ可能性はないだろうけど、リレー自体がトラブることは多いので、安全対策のためにリレーは配置すべき。
これはETC、USB電源ポートなども同じで、配線加工に問題が無くても、何らかの原因で過電流状態になった時、カットする装置は必要でしょう。