Z1Rはネイキッドというよりもメーカー純正カフェ・レーサーなのだそうだ。
カフェ・レーサーの語源についてはロンドンのエースカフェが有名だが、ようするに「無茶なことをして遊ぶ」が根底にある。
もちろん、今のご時世、キャノンボールのような公道レースは御法度だから、カフェ・レーサーは外観上のジャンル分けとして姿を遺しているに過ぎない。
でも、せっかくカフェ・レーサーに乗っているのだから、たまには無茶をしてみたい。
大昔は朝から夕方までの限られた時間に1,000kmを走り抜いたこともあったが、豪州大陸での出来事だったので、ちょっと反則かも。
じゃあ、500kmならどうだろうか?
何となく大丈夫な気がする。
どうやって500km走ろうか?
太平洋と日本海を1Dayで攻略したら1日500kmくらいになるのではないだろうか?
なるかな?
ツーリングマップルを開きながら、計算していくと、どうやら600kmくらいになるらしい。
600km…毎年、クルマで1日で600km近く走るのだが、全線高速道路のうえ話し相手になる同乗者たちもいるから疲労感が全然違う。
最後にバイクで長距離を走ったのはいつだろう?
覚えているのは、15年くらい前、当時住んでいたアパートから象潟町まで日帰りツーリングした時で、往復400kmあるかどうかだったが、急いで帰宅しても夕飯時だったハズ。
はたして600kmを完走できるのだろうか?
単車のコンディションは絶好調だが、問題は乗り手の体力。
家族からは「どうせガスケットのどこかが抜けてオイルがダダ漏れするに決まっている」とバカにされつつも、やると決めたからにはやるのだ。
そして、犬の散歩までに帰宅しなければならない、という制限時間つき(笑)。
あまり悩んでも仕方ないので、とりあえず早起きして身支度を整え、バイクのエンジンに火を入れた。
自宅 → 陸前高田 1時間50分 130km (時間と距離は概算)
実は太平洋、自宅からバイク・クルマで10分も走れば、水平線が見渡せる。
ここからスタートしてもいいのだが、それじゃつまらないので「県外の太平洋」という自分ルールを設定する。
なので、まずは岩手県の陸前高田市を目指す。
最初から一般道で行ったら県境の気仙沼まで行くのにも3時間以上かかるので、ここは有料道路を使わせてもらう。
といっても鳴瀬奥松島より先は無料通行区間、全ルートのほとんどを無料で走れる。
まずは、ここまで全速力で走る。
うまく写真を撮れる場所がなくてアレだったが、とりあえず碁石海岸あたりまで到着。
次に一関へ向かうのだが、実はここではなくて陸前高田で降りるのが正解だった。
のっけから道を間違え慌てふためく。
陸前高田 → 一関 1時間20分 60km
実はこのルートが今回のメインというか発端。
最初の最初は「ミステリーツアー第2弾」で指が停まったページが一関だった。
国道343号線が、なかなかよさげな峠道だったので、当初はここを走りに行くだけだったのだが、話が膨らんでここまで育ったのだった。
ルートとしては、陸前高田市から国道343号線の峠道を走りながら一関を目指す。
峠道に入る前に、ここで給油とトイレ休憩。
もう峠に入った瞬間、心が小躍りする。
せせらぎを左手に見ながら走る道は、それだけでインプレッション3割増し。
各コーナーも、そんなに急なRではないので、気持ちよく走れる。
初心者でも安心して走れる峠道だろう。
観光も興味があるなら、途中で猊鼻渓に立ち寄るのも悪くない。
一関 → 旧花山村 1時間 40km
一関まで進んだら、どこを走って日本海を目指すか。
ルートはいくつかあるが、国道398号線を走って秋田県を経由することに。
麓の旧花山村までは、国道457号線を使う。
地図で見るとワインディングのようにもみえるが、実際は平野がほどんど。
両脇には田んぼが広がり、農家の方々は田植えシーズン到来に大忙し。
排気音で邪魔しちゃ悪いので、ちょっと回転を落としてパーシャル気味で通り抜ける。
国道457号線から細倉マインパーク側に抜けると、花山湖に行き当たる。
花山湖付近の『道の駅 路田里はなやま』にて、いったん休憩することに。
旧花山村 → 湯沢 1時間50分 70km
『道の駅 路田里 はなやま』に着いたのが、だいたい11:30頃。
今日、はじめての道の駅だが、何十台ものバイクが並んでいた。
仙台からも比較的アクセスの良いエリアなので、あちこちから集まってきたのだろう。
緊急事態宣言下ではあるが、いつもと変わらぬGWのように見えた。
Googleナビでは湯沢市まで2時間前後だが、この先どうなるか分からないのでトイレを済ませておく。
男性は適当に済ませることができるが(ホントはダメよ)、コンビニだって空いているとは限らないので、トイレは出来る場所で終わらせた方が無難。
国道398号線は最初こそ、なだらかな高速コーナーが続くが、勾配がついてくると一気に道幅が狭くなり、さらにはRも鋭角になっていく。
前を走っていたバイクのグループもハンドルの切れ角が深くなるにつれ、スピードが落ちたり、外側に膨らんでいて、見ているこっちがハラハラ(笑)。
山間部ということで、まだまだ雪が残っていて、肌に感じる風もヒンヤリ。
これで曇って雨が降り出したら、一気に気温は急降下。
使わずじまいだったけど、こういう時期だと防寒具やレインもあった方がよいでしょう。
398号線は秋田側から登ってくるルートも楽しそうなので、栗駒山を中心に1周してみるのも面白いかも(国道342→県道49→県道42→国道457→県道178→国道398→県道282 ※ツーリングマップルより抜粋)。
湯沢 → 酒田 2時間 80km
湯沢市内に到着したのは午後1時手前。
休日の昼時だったせいか、昼を回っても観光客がたくさん。
ここもバイクが沢山停まっていて、さらりと見渡した限り、グループツーリングのバイク乗りたちが多かったように思える。
昼飯がわりのエナジードリンクを飲んだら、休憩もそこそこに再びバイクのエンジンに火を入れる。
もし、誰かと一緒だったら「え?もう出るの?」というくらいの短い休憩(笑)。
国道13号線でちょっと南下して、国道344号の峠道を抜けて酒田へ出る。
この辺の峠道で気づいたのだが、ところどころ路肩が広くなっている場所で、三脚にビデオカメラや望遠レンズをつけたカメラを山腹に向けている人達が何人もいた。
何か珍しい鳥や動物を撮影しているんだろうか?
うるさいバイクを横付けして「何してんですか?」と聞いたら「うるさい!あっちいってろ!!」とか言われそうなので、気になったけどやめておいた(笑)。
ここも、アップダウンの激しい峠道で景色も良い。
実は国道108号線を抜けて鳥海山を走るプランもあった。
鳥海ブルーラインから見える日本海はなかなかの絶景で、ぜひともチャレンジしたかったのだが、数日前のニュースで鳥海ブルーラインが全線開通するのはGW明け、とか見た気がしたので今回はパス。
酒田→大崎 2時間30分 135km
酒田に到着した頃には、3時になろうとしていた。
何か食べようか、どうしようか迷ったけど、とりあえず日本海をこの目で確認したところで大満足。
帰り道はいくつかルートがある。
高速道路を使って一気に宮城県へ戻るといいながら、月山で一度峠を越えるルート。
来た道を戻るルート。
そして新庄を抜けるルート。
高速道路は手っ取り早いのだが、高速料金が高いのと月山越えが寒そうだったので却下。
来た道を単純に戻るのも、もちろん却下。
ということは、新庄経由のルートで決まり。
市内から少し外れると、すぐに国道47号線に乗れる。
最初の方は「余目バイパス」「余目酒田道路」といって、いわゆる自動車専用道路になっているので流れも悪くない。
庄内町に入り、最上川が見えてくると景色が一変、美しい川沿いの道を走れる。
ついついアクセルも開けがちになるが、こういうアホでも飛ばせる場所では取り締まりも活発。
対向車線だったが、スピード違反を待ち受ける警察官の姿が…
高額納税者になるなら違反切符ではなく、ビジネスで大儲けしてから気持ちよく払います(笑)。
さすがに夕方近くになったせいか、クルマもバイクも姿がまばら。
高低差がそれほどないせいか、肩に力が入るようなワインディングもなく、そろそろ疲れが蓄積されてきた身体にはちょうどよい感じ。
鳴子温泉まで到着した頃には、今度は「帰宅ラッシュ」に巻き込まれる。
その日、外出していた家族と富谷方面で夕飯を食べることになっていたので、古川から高速道路に乗って家族と合流、夕飯を食べてから帰宅。
さて、何キロくらい走ったかなとメーターを見たら、600kmちょい。
日帰り、ほとんど休憩なしで、何本もの峠道を走っての600km。
「今度一緒に走りましょう」と言われても、なかなか「ぜひ!」と言えないのは、いざ走るとこんな感じだから(笑)。
現地集合、現地解散だったらOKだけど、それじゃ一緒に走る意味ないしね。
まあ、でもごくたまに「お、一緒に走っても面白いな」というライダーもいて、そういう人はちょっとアタマのネジがぶっ飛んでいるとか、おかしなのが多いんだけど(笑)。
誤解しないでほしいけど、観光したくない、美味しい物を食べたくない、というのではない。
走りに徹する、景色を眺める、飯を食う…このスイッチが一致しないと、一緒に走っていてもギクシャクしてダメなのである。
ともあれ「一日で太平洋と日本海を見て帰ってくるツーリング」は無事に終了。
エピローグ
実は夕飯時で停車していた時、キャブからオーバーフローして大変だった。
家族からは「オイルは漏れなかったけど、ガソリンが漏れたねえ」と笑われるし、何故かヘッドライトのLo側がつかなくなったり、翌日にはエンジンに火が入らなくなるなどトラブル続き。
続きは、いつもの修理のコーナーで(笑)。
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