アーカイブ Summer Touring 2000 東北・北海道 2

ぶらりバイクの旅

8月15日 [十和田湖~ニセコ] のっけから雨!?

6時起床。
まだボンヤリしている頭で寝袋から這い出し、急いでパッキング。
JUNが予約した船は青森発函館行き。出航時刻は9時10分。
ということは、8時くらいに到着し、乗船手続きをしなければならない。
十和田湖から青森港までは、60km弱。

峠道だし路面が濡れていたり、ペースの遅い車が道を塞ぎ、さらには深い霧…
これらの要素を考慮に入れれば、もう少し時間がかかるかもしれない。
荷物をまとめて、キャンプ場を出たのは7時ちょい前だった。

十和田湖畔から奥入瀬に入り、渓流を見ながらグイグイと走る。
うっすらと霞のヴェールに覆われた渓流は、早朝ならではの景観だろう。
メットのシールドを上げ、思い切り霞を吸い込んでやる。

ひんやりとした空気と水分が、不摂生の末に溜まった身体中の毒を消し去ってくれる気がする。
日が昇り切れば、この神秘的な霞も陽光に消されてしまうに違いない。
早起きは三文の得とはよく言ったものである。

なーんて言ってるのも、おめでたい発想かもしれない。
「自然の中に包まれているっていいよね」なんて言っても、人間は都合のいい自然しか認めないもんである。
クソ暑い荒野に死臭をぶちまける動物の屍骸と、そいつに群がるハエ…
そんな光景も自然の姿だってことを忘れてないか?

夏のキャンプじゃ苦労させられる蚊の大群、突然降りかかる大雨、身を切るような寒さ…
みんな自然なのだよ。
旅人…特にバイクで旅をするなら「そいつらも全て受け止めてやるぜ!」くらいの気概が欲しいもんである。
 
思ったよりも車が少なく、路面状況がよかったこともあって、青森港に到着したのは8時を少し回った頃。
途中で写真を撮り、青森市内で信号に引っ掛かりまくったことを考えれば、合格点だ。

一方のJUNは、青森市郊外のキャンプ場に泊まったらしく、オレが着いた頃には乗船手続きを済ませていた。
船に乗っている間、オレとJUNはルートについて話を進めた。
JUNは諸事情により、北海道に滞在出来るのは2日前後。ほとんどトンボ帰りだ。

函館に到着し、船のハッチが開く。
いつもながら、この瞬間は胸が躍る。
今日は台数が少なかったが、数十台のバイクが船から発進するとこは、SFチックでカッコいい。
ガンダム世代、バレバレだ。

腹が減っては戦が出来ぬってんで、ラーメン屋に入る。
そういや、最近昼間にラーメン食ってなかった気がする。
いつもガンガンに呑んだ後ばっかで。
だから太るんだよ。
いや実は、最近不摂生のせいで、腰周りに少々危険を感じている。

ケツがデカく見えるのか「タケダさんてー後ろから見てると女の子が乗ってるみたいだよー」とか言われるし。
そうだよな。
髪も長いから、背のデカいネエちゃんがデカいバイクに跨ってるように見えるかもしんないな。
でも、この頃は体脂肪率を11%まで落としたんだぜ。

ラーメンを食っている間、高校生が同級生とその家族を襲ったというニュースを放送していた。
動機は振られたとか、風呂を覗いたと疑われたとか。
それが本当なら、とんでもない話だ。
振られる度に殺してたんじゃ、オレなんて今ごろ20世紀に名を残す連続殺人犯になってるぜ。

自分にセガレやムスメがいるわけじゃないから分からないけど、今の子供ってオレらの頃と比べるとすげえ息苦しいんだろうな。
放課後に事故があったら教師はたまらないから、さっさと校庭から締め出され、学校の授業だけじゃ足りないからと塾にぶち込まれ…
こないだ、電車の中で小学生が「この頃疲れがとれなくてさ…」とか言ってるの聞いて、おいちゃんはビックラこいたよ。
オレがガキの頃なんて、お釣りがくるほど体力があったのにな。

今のガキは、体力はなさそうだけど、知識だけはあるんだよ。
やけに情報量が多くてさ。
でも、垂れ流された情報を取捨選択するアタマは未発達だから、TVやらネットの情報に流されてしまって、いかにも自分が経験したような口ぶりで語っている。
「○○って美味しいんだよ」「おめーそれ、食ったの?」「いや、テレビで美味しいって言ってたから、美味しいんだよ」てな具合にだ。
目の前でいくら美味そうな臭いがしたって、実際に食うまでは味も舌触りも分からないのに。

オレらの頃は、何人かで遊び回って、悪さしたり、殴り合ったりしながら「ここまでやると怒られる」「ここまでやったら、痛い」なんてことを覚えていったもんだけどな。
周りには沼やら山やら原っぱがあったから、遊び場には全然困らなかったし。
でも、よく考えてみたら、オレんとこの田舎ですら、沼は埋め立てられ、野原や山は住宅街になってしまったもんなあ。
今のガキどもって何処で何して遊んでるんだろ?やっぱし、プレステなんかで盛り上がってるのかな?
ベーゴマなんて回せないんだろうな、きっと。

なんてことをJUNと話しながら、ラーメンを平らげた。
函館からニセコに行くには、国道5号線に乗るのが手っ取り早い。
日本海側の松前半島や太平洋側の亀田半島を経由してもいいが、昨年通ったのでパス。
一気に噴火湾に抜けることにした。

森町に入り、噴火湾を右手に見ながら北上する頃には、ライダーの姿も増え始めていた。
対向車線のライダーには手を振り、お互い度の無事を祈る。

そう。
無事に帰ってこその旅なのだ。
余裕を持って楽しまなければ…が、長万部付近でいきなりの渋滞。
何だってこんなところで混むんだろうと思いきや、事故。
車3、4台による玉突き衝突だ。
あせってスリ抜けしようとするJUNを制し、ゆっくりと走る。

長万部から山間ルートへ入るところで、しばし休憩。
何気に空を見上げると、すっかり曇っている。
「雲行きが怪しいなあ」

JUNも不安そうに空を仰ぐ。
そういや、向こうから走ってくるライダーたちは、みんなカッパ着てたような気がする。
昨年、ニセコで霧と小雨にやられたオレたちは、今のうちに荷物をシーリングしておいた。

100円ショップで購入したゴミ袋でカバー。ちゃんと使える
昨年もJUNとは途中から一緒だった。楽団四季のボーカルだ

内陸に入るに連れて、雲はどんどん厚くなり、肌寒ささえ感じる。
今にも振り出しそうな雰囲気だ。
本当ならぶっ飛ばしたいところだが、ツーリングマップルによれば、この辺は取り締まり強化区域。
口コミ中心で構成されている情報だけに、どこまで当てになる情報か分からないが、ペースを守る。

ニセコの麓に着いた頃には晴れ間も出てきたが、油断は禁物。
オレたちは、昨年もそれでひどい目に合わされたのだ。

今日の宿は湯本温泉野営場。
国民宿舎、雪秩父に隣接したキャンプ場だ。
昆布川温泉から北に向かって峠を登りきった辺りにあるので、比較的分かりやすい。しかも、無料。
炊事場もトイレも使い勝手が良い。

ところが、お盆の真っ只中ということもあって、キャンプ場も温泉も大混雑。
温泉はカランのお湯が出ないときたもんだ。
ここまで来て温泉を断念するわけにもゆかず、比較的空いているという夕食前の時間帯を狙って入浴。

長距離走行が続いたせいか肩こりがひどく、お湯の中でじっくりと身体をほぐす。
普通の旅行者なら、部屋にメシが運ばれてきて、あとはそのままひっくり返ればいいのだが…
風呂からあがり、メシの支度を始める。

今日のメニューはカレーとシーチキン。
JUNもオレもソロ・ツーリングが中心なので、テキパキと準備に取り掛かる。
つるんでツーリングするなら、こういう相手の方が気が楽だ。
お互いの腕を信頼しているから、何をやらせても不安がない。

少々遅い晩飯を食べ終わった頃、パラパラと雨が降り出してきた。
木立に降り注ぐ雨が耳に心地いい…なんて思うのは、車で来ているキャンパーだけ。
ライダーにとって雨は天敵以外の何者でもない。
濡れたタオルは干せないし、濡れたテントの撤収は大変だし、雨天走行はダートを走るよりも疲れる。
この日は遅くまで雨が降り続いた。

【今日の温泉】
ニセコ湯本温泉。泉質は硫黄泉と鉄鉱泉。
男女合わせて11種類の露天風呂があり、内風呂は2種類。
周囲には湖沼と湿原があり、風景も抜群。効能は慢性関節炎、筋肉リウマチ、神経痛、神経炎など。
入浴料は500円。

8月16日 [ニセコ~留萌]

目覚めてみても、雨。
少しも晴れる気配はなし。
隣にテントを張っていたライダーたちは、のんびりとトーストを焼いている。
彼らが言うには、下の方は晴れているとのこと。
その言葉に勇気付けられ、テントを撤収する。
ここでいよいよ、本格的なソロ・ツーリングの始まり。
キャンプ場を右に折れ、函館方面に戻るJUN。
オレは積丹半島を目指し、峠を下る。
 
ニセコから岩内に抜けて、海沿いの国道229号線に乗る。
積丹半島付近の229号線は、平成8年になって全線開通したためか、あまり観光スポットとして知られていない。
だが、個人的には道内でも指折りの景色を堪能できると思っている。
気持ちよく走っていたら、地元の子供たちが親指を立ててみせる。
ライダーたちのピースサインを覚えたのだろう。

積丹半島を過ぎると、小樽に到着するのだが、余市でちょっと寄り道。
余市駅前の商店街に、格安のイクラ丼やウニ丼を食べさせてくれる『海鮮工房』があるのだ。
場所はちょっと分かりづらいが、多くのライダーがこの店を目当てに余市に立ち寄るので、荷物満載のバイクを探せば簡単に見つかるだろう。

「ウニだウニ丼だ…」とワクワクしながら店に入る。
が、何と本日うに丼はオーダーストップ!ガックシ…
仕方ないので、イクラ丼を注文。
イクラ丼も安く、609円。他にも定食や寿司があるので、是非試していただきたい。

イマイチ迫力に欠けるが、こんな断崖絶壁を観ながら走る。やはり北上ルートをお勧めする

腹を満たした後は、ガンガン北上。
とにかくいけるところまで北上することに。
この日、初めてホクレンでガソリンを給油。
例によって例の如く、ホクレンの旗をゲットする。
今年はスタンプラリーにも挑戦だ。
5リットルごとにスタンプがもらえ、そいつの数によって景品が当たるというもの。
この旗ひとつで、随分と売上は違ってくるんだろうか。

「あのーやっぱし、ホクレンさんって夏の間はすんげー売上が上がるんですかね?」
「ええ、目に見えて違いますね。バイクのお客様が物凄く多いですから」

ああ、やっぱりそうなんだ。
バイクの客が多いからか、ホクレンのSSでは給油の際、ちゃんとタオルを当ててタンクにガソリンが付着しないように注意してくれる所がほとんど。
オレが経験した限りでは、店員の応対もよかったし。
んなもんだから、旗は別としても「ホクレンの方がいいや」と、リピーターも増える。
本州のSSも見習って欲しいもんである。

昼過ぎになっても、快晴は続く。
「こいつは、稚内まで行けるんじゃないか?」とさえ思うが、どうにもこうにも肩が痛い。
昨日、たっぷりと温泉に浸かったはずなのに、左肩だけが軋むように痛む。
アクセルを開ける右肩なら分かるが、ほとんどフリーの左肩にダメージがあるとは…

あまりの痛さにパーキングエリアで停車。肩を回したり、揉んだりして身体を休める。
30分ほど休憩して再び出発するが、1キロも走らないうちに、またも肩が痛み出す。
どうにもこうにも耐えられず、留萌でストップ。
神居岩公園キャンプ場にテントを張る。

【今日の温泉】

神居岩(かむいわ)温泉。留萌市唯一の温泉。
キャンプ場からホテル神居岩までは、車で2分くらい。
泉質は塩化物泉・硫黄泉。効能は神経痛・筋肉痛・糖尿病・機能障害・婦人病など。
入浴料500円(2000年当時)。

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