2021年05月28日 Z1RのTMキャブレター オーバーフロー修理

TM38キャブレター Z1R-II

オーバーホールじゃなくてオーバーフロー。
オーバーフローすると必然的にオーバーホールもするんだけど。

さんざんDISった古いMFバッテリーでも火が入ったので、故障個所はイグニッションコイルと断定したわけだが、それとは別にオーバーフローを修理しなければならない。

1年前、しっかりと分解整備したつもりだし、WAKO’Sのケミカルまで導入したというのに。
しょうがないので、再度キャブを降ろして分解整備。
そういえばTMキャブのパイロットジェット(PJ)って、市販のキャブレター清掃ツールが入らないのね。

無理すると柔らかい真鍮部品を壊してしまうのでチカラ技は厳禁。
オススメなのはエレキギターの弦。
1弦か2弦で0.13くらいのヤツ。
これにPJを通して、弦の両端を持ってブンブン回してやると経路の内側も清掃できる。
もちろん、清掃後はエア吹いて、穴を光に透かしてやる。

オーバーフローの原因はたいていが「フロートが上がっているのに、栓が閉まらない」というトイレのタンクでもお馴染みのトラブル。
キャブは正常であれば、浮きあがったフロートがニードルバルブを押し上げ、先端が燃料の流入口に密着することで燃料が停まる。
フロート室の燃料がジェットで吸い上げられて少なくなれば、フロートが落ちて燃料が流れてくる。
で、また浮いて来ればニードルバルブが押し上げられて停まる…の繰り返し。
何らかの原因でバルブが密着しないと、いつまでも燃料が流れてくる。
放ったらかすとエンジン内部までにガソリンが流れ込んでトラブルになるため、一定量を越えた時点でフロートからガソリンを逃がすようになっている。
これが、オーバーフロー。

よく聞くのは、ニードルバルブの摩耗。
三角錐の部分が経年劣化によって段付きを起こし、密着度が低くなるというもの。
先端がゴム製のバルブは、明らかにすり減っているのが確認できる場合もある。

あとは油面の調整。
たとえばTMキャブは本体からフロートの端部まで17mm(±1mm)と決まっている。
規定値から外さないように調整しておく。

我が家のZは、両方とも問題なし。
組み付けも複数回チェックした。
じゃあ、もう一度エンジンをかける…というのはオーバーフローが停まらないと、またキャブを外してばらして…というのが面倒くさいので、燃料パイプにガソリンを注入してフロート室が満タンになるようにしてやる。
この時、ガソリンがあちこちに飛び散ると危ないので、受ける容器を下に置く。
結果は…残念ながら小便小僧のようにガソリンが漏れております(涙)。

燃料を抜いて、キャブを逆さにして再度分解。
オーバーフローした気筒のニードルバルブを別の場所と入れ替えて、組み付ける。
同じようにガソリンを入れて、オーバーフローが起きるか確認。
すると、見事に入れ替えた側のドレンからガソリンが漏れ出した。

ということは、ニードルバルブに不具合があると判断できる。
ここで「イエーイ!楽勝だぜ」と喜ぶのは時期尚早。
何でもそうだけど、喜ぶのは成功してからね。

問題はパーツの入手先。
用品店に在庫していればいいんだけど、残念ながら古いキャブの消耗品を常時在庫していそうなバイク用品店は近くにない。
あるかもしれないけど、いちいち電話して、問い合わせて、どんな部品が欲しいかとか、相手が分からないとそれを説明して、店内を探してもらって…とか、それだけで10分、20分と時が過ぎていく。
休日に「なんか面白いもの、ないかな」という感覚で行くならいいんだけどね。

そこで頼りになるのはモノタロウ。
事業者向けの通販サイトなんだけど、最近は個人でも利用できるみたい。
「こんなものないだろうな」と思って探しても、結構高い確率で見つかる。

ちなみに、あれこれバラで買うよりもOリングなどセットになった商品を買うのがお得。
セット商品は『 TMB/40H 』で検索すると、あちこちのサイトで引っかかるはず。
内容は以下の通り。

ガスケットトップカバー(TM36/39)×4
Oリングフロートチャンバー(616-94020)×3
Oリングフロートチャンバー#2(616-94021)×1
Oリングドレンボルト(VM28/254)×4
Oリングパイロットスクリュー(N133037)×4
ワッシャー(パイロットスクリュー(VM12/33)×4
スプリングパイロットスクリュー(N133206)×4
パイロットスクリュー(604-26003)×4
ニードルバルブマルチΦ36・Φ38・Φ40N149040-2.8)×4
Oリングポンプノズル(N124063)×4
プラグポンプノズル(TM29/14)×4
Oリングニードルバルブ(KV/10)×4
フィルターニードルバルブ(VM18/233)×4
Oリングアクセレーターアジャスト(B30/205)×4
バラでこれを揃えると、少なくとも15,000円以上かかる。

旧いキャブレターでも、この辺をマメに整備していれば大丈夫な気がする(スロットルバルブなど、上から外してアプローチする部品群は別としても)。

で、到着したのがこれらのパーツ。
ニードルバルブアッシー N149040 \1,320
Oリングニードルバルブ KV/10 \66

ASSYと言いながらOリングとストレーナーは別売り(笑)。
60円余分に払うので、一緒にしてくれるとありがたいんだけど。
新品と古いのって、どれくらい違うものなんだろう。
漏れてくる方と正常な方は、見た感じでは違いが見つけられなかった。

上から「新品」「正常」「問題あり」
2番目と3番目は見た目の区別はつかないが、新品は明らかに先端が尖っている。
フロートの上下運動なんて大したことないと思っていたけど、こうして削れていくのね。

そういえば、連日のようにキャブを開けたり閉じたりしているうちに、フロートを抜くSSTが何処かに行ってしまった。
これがないと抜くのが大変というか、無理に何かしようとするとフロートを支える柱がへし折れる。
単にピンが入っているだけなんだけど、手元が狂うのか壊しちゃうこと多いみたい。
というわけで、見つけたのがコレ。

200円ちょい。
先っちょが尖がっているので、削ってやる。

叩くことを前提に造られているので、使い勝手は良さげ。

ここのピン、あまりにもキツいようだったら、少し磨いてやるといいのかも。
カジり気味でビクともしない場合は?
バーナーじゃフロートも溶けてしまうので、煮込むか熱湯のぶっかけで。
とにかくキャブレターは力を入れないで、力を入れている=何かが間違っている、くらいの感覚が良いでしょう。

ピタリと止まって、ひと安心。
次はいよいよバッテリーを搭載して始動実験。
うまくいってくれ~!

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